フロンティア古典教室

『完璧而帰(璧を完うして帰る)』(1)原文・書き下し文・現代語訳

   

青=現代語訳・下小文字=返り点・上小文字=送り仮名・解説=赤字

 

 

恵文王、嘗タリ和氏。秦昭王、請ツテ十五城上レヘンコトヲ

(ちょう)(けい)(ぶん)(おう)(かつ)()()()(へき)()たり(しん)(しょう)(おう)(じゅう)()(じょう)()つて(これ)()へんことを()

 

趙の恵文王は、かつて楚の和氏が山中で発見したという宝玉を手に入れた。秦の昭王は、十五の城(=町)とその宝玉とを交換してもらいたいと申し入れた。

 

 

スレバ()ラント、畏キヲ、欲スレバヘント、恐()ンコトヲ

(あた)へざらんと(ほっ)すれば、(しん)(つよ)きを(おそ)(あた)へんと(ほっ)すれば、(あざむ)かれんことを(おそ)

※見=受身「見(セ)/見(セ)」→「A(せ)る/A(せ)らる」→「Aされる」

与えないようにすれば、秦の強いことが恐ろしく、与えようとすれば、(宝玉だけ取られて)だまされることが心配であった。

 

 

藺相如願二フジテカント

(りん)(しょう)(じょ)(へき)(ほう)じて()かんと(ねが)

 

藺相如が宝玉を(秦に)捧げに行くことを願い出た。

 

 

ハク、「城()ンバ、則臣請、完ウシテ而帰ラント。」

()はく、「(しろ)()らずんば、(すなわ)(しん)()ふ、(へき)(まっと)うして(かえ)らん。」と。

※「請 ~」=願望、「どうか ~ させてください、どうか ~ してください」

藺相如が言うことには、「もし城(=町)が手に入らなければ、私は宝玉を完全なままで持ち帰りましょう。」と。

 

 

ニシテ。秦王無フニ

(すで)にして(いた)る。(しん)(おう)(しろ)(つぐな)ふに()()

 

やがて(藺相如は秦に)到着した。秦王には町を代償として渡す意志が見えなかった。

 

 

相如乃紿キテ、怒髪指、卻シテ柱下ハク

(しょう)(じょ)(すなわ)紿(あざむ)きて(へき)()り、()(はつ)(かんむり)()(ちゅう)()(きゃく)(りつ)して()はく、

 

そこで藺相如はあざむいて宝玉を取り返し、怒りで髪の毛が冠を突き上げるほどで、柱の下もとまで後ずさりし立ちはだかって言うことには、

 

 

「臣頭与璧倶ケント。」

(しん)(こうべ)(へき)(とも)(くだ)けん。」と。

 

「私の頭は、この宝玉といっしょに砕けるでしょう。」と。

 

 

()従者ヲシテキテ、間行シテ、身於秦。秦昭王賢トシテ而帰

(じゅう)(しゃ)をして(へき)(いだ)きて(かん)(こう)して()(かえ)らしめ、()(めい)(しん)()つ。(しん)(しょう)(おう)(けん)として(これ)(かえ)す。

※遣=使役「遣ヲシテ(セ)」→「AをしてB(せ)しむ」→「AにBさせる」

従者に宝玉を持たせて、抜け道を通って先に帰らせ、自分は秦王の命令を待った。秦の昭王は賢人だとして藺相如を帰国させた。

 

 

続きはこちら『完璧而帰(璧を完うして帰る)』(2)原文・書き下し文・現代語訳

 

 

 

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