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鴻門之会(史記)(3)原文・書き下し文・現代語訳

青=現代語訳・下小文字=返り点・上小文字=送り仮名・解説=赤字

 史記『鴻門之会』まとめ

 

項王即日、因リテメテ沛公

(こう)(おう)(そく)(じつ)()りて(はい)(こう)(とど)めて(とも)(いん)す。

 

項王はその日、そこで沛公を留め、ともに宴を開いた。

 

 

項王・項伯東嚮シテ、亜父南嚮シテ

(こう)(おう)(こう)(はく)(とう)(きょう)して()し、()()(なん)(きょう)して()す。

 

項王と項伯は東に向いて座り、亜父は南に向いて座った。

 

 

亜父()、范増(なり)。沛公北嚮シテ、張良西嚮シテ

()()とは、(はん)(ぞう)なり。(はい)(こう)(ほっ)(きょう)して()し、(ちょう)(りょう)西(せい)(きょう)して()す。

 

亜父とは范増のことである。沛公は北に向いて座り、張良は西に向いて(沛公のそばに)控えて座った。

 

 

范増数目項王、挙ゲテブル玉玦、以者三タビス

(はん)(ぞう)(しばしば)(こう)(おう)(もく)し、()ぶる(ところ)(ぎょく)(けつ)()げて、(もっ)(これ)(しめ)(こと)()たびす。

 

范増は何度も項王に目配せをし、身に付けている玉玦を持ち挙げて、(沛公を殺す決断をするよう)示すこと数回に及んだ。

 

 

項王黙然トシテ()

(こう)(おう)(もく)(ぜん)として(おう)ぜず。

 

(しかし、)項王は黙ったままで応じなかった。

 

 

范増起チテ、召シテ項荘ヒテハク

(はん)(ぞう)()ちて()で、(こう)(そう)()して()ひて()はく、

 

范増は立ち上がって外に出て、項荘を呼び寄せて向かって言うことには、

 

 

「君王為()。若入ミテ寿

(くん)(おう)(ひと)()(しの)びず。(なんじ)()(すす)みて寿(じゅ)()せ。

 

「君王は残忍なことができない人柄だ。(だから、)おまえは宴席に入り前に進んで長寿を祈れ。

 

 

寿畢ハラバ、請ハンコトヲ、因リテチテ沛公於坐

寿(じゅ)()はらば、(けん)(もっ)()はんことを()ひ、()りて(はい)(こう)()()ちて(これ)(ころ)せ。

※於=置き字(対象・目的)

長寿の祈りを終えたら、剣舞を願い出て、そこで沛公を宴席で襲って殺してしまえ。

 

 

()-()()ズンバ、若属皆(まさ/す)二/トラントトスル。」

不者(しから)ずんば、(なんじ)(ぞく)(みな)(まさ)(とりこ)とする(ところ)()らんとす。」と。

※「不者ンバ」=そうしなければ・そうでなければ

※「(まさ/す) ~(セ)ント」=再読文字、「且に ~(せ)んとす」、「いまにも ~しようとする/ ~するつもりだ」

※「為一レ(スル)」=受身、「AのB(する)所と為る」、「AにBされる」

そうしないと、おまえの一族はみな沛公に捕らわれてしまうだろう。」



荘則リテ寿

(そう)(すなわ)()りて寿(じゅ)()す。

 

荘はそこで宴席に入り、長寿を祈った。

 

 

寿畢ハリテハク、「君王()沛公。軍中無一レスコトシミヲ。請ハント。」

寿(じゅ)()はりて()はく、「(くん)(おう)(はい)(こう)(いん)す。(ぐん)(ちゅう)(もっ)(たの)しみを()すことなし。()(けん)(もっ)()はん。」と。

※「請 ~」=願望、「どうか ~ させてください、どうか ~ してください」

祈り終わって言うには、「君王は沛公と宴を催しています。(しかし)軍中であり、娯楽もありません。どうか剣舞をさせてください。」

 

 

項王曰ハク、「諾。」項荘抜チテ

(こう)(おう)()はく、「(だく)。」と。(こう)(そう)(けん)()きて()ちて()ふ。

 

項王は「よし。」と言った。項荘は剣を抜いて立ち上がって舞った。

 

 

項伯チテ、常-沛公

(こう)(はく)()(けん)()きて()ちて()ひ、(つね)()(もっ)(はい)(こう)(よく)(へい)す。

 

項伯もまた剣を抜き立ち上がって舞い、常に自分の体で(項荘の攻撃から)沛公を守った。

 

 

()ツコトヲ

(そう)()つことを()ず。

※「不 ~(スル)ヲ」=不可能、「 ~(する)を得ず」、「(機会がなくて) ~できない。」

荘は(沛公を)襲うことができなかった。

 

 

続きはこちら鴻門之会(史記)(4)原文・書き下し文・現代語訳【樊噲目を瞋らして項王を視る。】「是に於いて~」 

 

史記『鴻門之会』まとめ

 

 

 

 

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