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韓非子『処知則難』原文・書き下し文・現代語訳

青=現代語訳・下小文字=返り点・上小文字=送り仮名・解説=赤字

 

 

-者、鄭武公、欲タント

昔者(むかし)(てい)()(こう)()()たんと(ほっ)す。

 

昔、鄭の国の武公は胡の国を討伐したいと考えていた。

 

 

アハセ胡君、以シマシム

(ゆえ)()()(むすめ)(もっ)()(くん)()せ、(もっ)()()(たの)ましむ。

 

そのため、まず自分の娘を胡の君主に嫁がせ、鄭への印象を良くさせておいた。

 

 

リテ於群臣、「吾欲ヰント。誰()ゾト。」

()りて(ぐん)(しん)()ふ、「(われ)(へい)(もち)ゐん(ほっ)す。(たれ)()つべき(もの)ぞ。」と。

※於=置き字(対象・目的)

そこで、(武公が)家来たちに尋ねて言うことには、「私は兵を動かそうと思う。どこを討伐するのが良いだろうか。」と。

 

 

大夫関其思対ヘテハク、「胡()シト。」

(たい)()(かん)()()(こた)へて()はく、「()()つべし。」と。

 

大夫の関其思が答えて言うことには、「胡を討伐するのが良いでしょう。」と。

 

 

武公怒リテ而戮シテハク、「胡兄弟()(なり)。子言フハテト()。」

()(こう)(いか)りて(これ)(ころ)して()はく、「()(けい)(てい)(くに)なり。()(これ)()てと()ふは(なん)ぞや。」と。

※而=置き字(順接・逆接)

※「 ~也」=疑問、「 ~は何ぞや」、「~はどうしてか」

(それを聞いて)武公は怒り、関其思を殺して言うことには、「胡は兄弟のような国である。(それなのに)お前はこれを討伐しろというのはどうしてか。」

 

 

胡君聞、以シムト、遂()

()(くん)(これ)()き、(てい)(もっ)(おのれ)(した)しむと()し、(つい)(てい)(そな)へず。

 

胡の君主はこの話を聞いて、鄭を自国に親しいものだと考え、そのまま鄭(の侵攻)に対して備えをしなかった。

 

 

鄭人襲ヒテ

(てい)(ひと)()(おそ)(これ)()る。

 

(そして、)鄭の人々は胡を襲って討ち取った。

 

 

富人。天雨フリ牆壊

(そう)()(じん)()(てん)(あめ)ふり(かき)(くず)る。

 

宋の国に金持ちがいた。雨が降って土塀が崩れた。

 

 

子曰ハク、「()ンバ、必(まさ/す)/ラント盗。」

()()()はく、「(きず)ずんば、(かなら)(まさ)(とう)()らんとす。」と。

※「(まさ/す)ニ/  ~(セ)ント」=再読文字、「将(まさ)に ~(せ)んとす」、「~しようとする・~するつもりだ」

その金持ちの息子が言うことには、「(土塀を)修理しないと、必ず盗みに入られるだろう。」と。

 

 

隣人()亦云。暮レニシテ而果タシテイニ

()(りん)(じん)()(また)()ふ。()にして()たして(おお)いに()(ざい)(うしな)ふ。

 

その隣の家の主人もまた同じことを言った。日が暮れたころに、思った通り多くの財産を失った。

 

 

家甚トシテ、而疑ヘリ隣人()

()(いえ)(はなは)()()()として、(りん)(じん)()(うたが)へり。

 

その金持ちの家では、たいそう自分の息子を賢いとし、(その一方で)隣の家の主人を疑った。

 

 

二人、説者皆当タレリ矣。

()()(にん)は、()(こと)(みな)()れり。

※矣=置き字(断定・強調)

この二人(=関其思と隣の家の主人)は、主張したことはすべて的中していた。

 

 

()、薄()

(あつ)(もの)(りく)(うす)(もの)(うたが)はる。

※見(為・被・所)=受身「見(セ)/見(セ)」→「A(せ)る/A(せ)らる」→「Aされる」

(それなのに)酷い場合には殺され、軽い場合には疑いをかけられた。

 

 

ザル()キニ(なり)。処スルコト(なり)

(すなわ)()(かた)きに(あら)ざるなり。()(しょ)すること(すなわ)(かた)きなり。

 

ならば、知ることが難しいのではない。知ったことにどう対処するかということが難しいのである。

 

 

 

 

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