古文

方丈記『養和の飢饉』(1)品詞分解のみ

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

方丈記『養和の飢饉』まとめ

 

 

また=接続語

養和(ようわ)=名詞

=格助詞

ころ=名詞

=格助詞

=疑問の係助詞

久しく=シク活用の形容詞「久し(ひさし)」の連用形

なり=ラ行四段動詞「成る」の連用形

=接続助詞

覚え=ヤ行下二段動詞「覚ゆ(おぼゆ)」の未然形

=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形

 

また(よう)()のころとか、久しくなりて覚えず。

また養和の頃であったか、長い時を経てしまったので覚えていない。

 

 

二年=名詞

=格助詞

=名詞

世の中=名詞

飢渇し=サ変動詞「飢渇す(けかつす)」の連用形。  「名詞+す(サ変動詞)」で一つのサ変動詞になるものがいくらかある。例:「音す」、「愛す」、「ご覧ず」

=接続助詞

あさましき=シク活用の形容詞「あさまし」の連体形。なさけない、嘆かわしい。驚きあきれる、意外でびっくりすることだ。あまりのことにあきれる。

=名詞

侍り=ラ変動詞「侍り(はべり)」の連用形、「あり・居り」の丁寧語。言葉の受け手である読者を敬っている。作者からの敬意。

※「候ふ(さぶらふ)・侍り(はべり)」は補助動詞だと丁寧語「~です、~ます」の意味であるが、本動詞だと、丁寧語「あります、ございます、おります」と謙譲語「お仕え申し上げる、お控え申し上げる」の二つ意味がある。

※尊敬語は動作の主体を敬う

※謙譲語は動作の対象を敬う

※丁寧語は言葉の受け手(聞き手・詠み手)を敬う。

どの敬語も、その敬語を実質的に使った人間からの敬意である。

=過去の助動詞「き」の終止形、接続は連用形

 

二年が間、世の中()(かつ)して、あさましき事(はべ)りき。

二年間、世間では()(きん)が起こって、驚きあきれるようなひどい事がありました。

※飢饉(ききん)=農作物が十分に実らず、食料不足となること。

 

 

あるいは=連語、あるいは接続語。「ある(ラ変動詞・連体形)/い(間投助詞)/は(係助詞)」

=名詞

=名詞

日照り=名詞

あるいは=連語、あるいは接続語。「ある(ラ変動詞・連体形)/い(間投助詞)/は(係助詞)」

=名詞

大風=名詞

洪水=名詞

など=副助詞

よから=ク活用の形容詞「良し」の未然形

=打消の助動詞「ず」の連体形、接続は未然形

事ども=名詞

うち続き=カ行四段動詞「うち続く」の連用形

=接続助詞

五穀(ごこく)=名詞

ことごとく=副詞

なら=ラ行四段動詞「生る(なる)」の未然形

=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形

 

あるいは春・夏、日照り、あるいは秋、大風・洪水など、よからぬ事どもうち続きて、()(こく)ことごとくならず。

ある年は春・夏に干ばつ、ある年は秋に大風・洪水などと、悪いことが続いて、穀物はまったく実らない。

 

むなしく=シク活用の形容詞「空し・虚し(むなし)」の連用形、無駄だ、かいがない。何もない、空っぽである。はかない。

=名詞

かへし=サ行四段動詞「返す」の連用形

=名詞

植うる=ワ行下二段動詞「植う(うう)」の連体形、ワ行下二段活用の動詞は「植う(うう)」・「飢う(うう)」・「据う(すう)」の3つしかないと思ってよいので、大学受験に向けて覚えておくとよい。

営み=名詞

あり=ラ変動詞「あり」の連用形

=接続助詞

=名詞

刈り=ラ行四段動詞「刈る(かる)」の連用形

=名詞

収むる=マ行下二段動詞「収む(おさむ)」の連体形

そめき(騒き)=名詞

=係助詞

なし=ク活用の形容詞「無し」の終止形

 

むなしく春かへし、夏植うる営みありて、秋刈り、冬収むるそめきはなし。

むなしく春に(田畑を)(たがや)、夏に(苗を)植える仕事があっても、秋に刈り取り、冬に収納するというにぎわいはない。

 

 

これ=代名詞

=格助詞

より=ラ行四段動詞「寄る・依る」の連用形

=接続助詞

国々=名詞

=格助詞

=名詞

あるいは=連語、あるいは接続語。「ある(ラ変動詞・連体形)/い(間投助詞)/は(係助詞)」

=名詞

=格助詞

捨て=タ行下二段動詞「捨つ」の連用形

=接続助詞

=名詞

=格助詞

出で=ダ行下二段動詞「出づ」の連用形

あるいは=連語、あるいは接続語。「ある(ラ変動詞・連体形)/い(間投助詞)/は(係助詞)」

=名詞

=格助詞

忘れ=ラ行下二段動詞「忘る」の連用形

=接続助詞

=名詞

=格助詞

住む=マ行四段動詞「住む」の終止形

 

これによりて国々の民、あるいは地を捨てて(さかい)を出で、あるいは家を忘れて山に住む。

このために国々の民は、ある者は土地を捨てて国境を越え、ある者は家を捨てて山に住んだ。

 

 

さまざま=名詞

=格助詞

御祈り=名詞

はじまり=ラ行四段動詞「始まる」の連用形

=接続助詞

なべて(並べて)=副詞、一般に、すべて、並ひととおり、ふつう

なら=断定の助動詞「なり」の未然形、接続は体言・連体形

=打消の助動詞「ず」の連体形、接続は未然形

法ども=名詞

行は=ハ行四段動詞「行ふ」の未然形

るれ=受身の助動詞「る」の已然形、接続は未然形。「る・らる」には「受身・尊敬・自発・可能」の四つの意味があるがここは文脈判断。

=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。

さらに=下に打消語を伴って、「まったく~ない、決して~ない」。ここでは「なし」が打消語

=代名詞

=格助詞

(しるし)=名詞、効き目、効能。霊験、ご利益。目印。

なし=ク活用の形容詞「無し」の終止形

 

さまざまの御祈りはじまりて、なべてならぬ法ども行はるれど、さらにその(しるし)なし。

(朝廷では)さまざまな御()(とう)が始まって、並々でない修法などが行われるけれど、まったくその効果はない。

 

 

=名詞

=格助詞

ならひ=名詞

何わざ=名詞

わざ=名詞、こと、事の次第。おこなひ、動作、しわざ、仕事。仏事、法事、法会

=格助詞

つけ=カ行下二段動詞「付く」の連用形

=接続助詞

=係助詞

みな=名詞

もと=名詞

=係助詞

田舎=名詞

=格助詞

こそ=強調の係助詞。結びは已然形となるが、係り結びの消滅が起こっている。本来の結びは「る(存続の助動詞)」の部分であるが、接続助詞「に」が来ているため、結びの部分が消滅してしまっている(=文末ではなくなっている)。これを「係り結びの消滅(流れ)」と言う。

頼め=マ行四段動詞「頼む」の已然形。頼みに思う、あてにする。 直後に完了・存続の助動詞「り」が来ていることから已然形であり、四段活用だと判断する。

※四段活用と下二段活用の両方になる動詞があり、下二段になると「使役」の意味が加わ、「頼みに思わせる、あてにさせる」といった意味になる。

=存続の助動詞「り」の連体形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形。本来なら「こそ」を受けて已然形になるはずだったが、接続助詞「に」があるために連体形となっている。係り結びの消滅(流れ)。

=接続助詞

 

京のならひ、何わざにつけても、みな、もとは田舎をこそ頼めるに、

京の町の習慣は、何事につけても、全て、(生活の)根本は地方を頼りにしているのに、

 

 

絶えて=副詞

上る=ラ行四段動詞「上る」の連体形

もの=名詞

なけれ=ク活用の形容詞「無し」の已然形

=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

=副詞、そう、その通りに、そのように。

のみ=副助詞

=反語の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

=強調の係助詞。現代語でもそうだが、疑問文を強調していうと反語となる。「~か!(いや、そうじゃないだろう。)」。なので、「~やは・~かは」とあれば反語の可能性が高い。

(みさお)=名詞

=係助詞

つくりあへ=ハ行下二段動詞「作り敢ふ(つくりあふ)」の未然形。「敢ふ(あふ)」は「すっかり~する・~しきる」という意味がある。

=推量の助動詞「む」の連体形が音便化したもの、接続は未然形。係助詞「や」を受けて連体形となっている。係り結び。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

 

絶えて上るものなければ、さのみやは(みさお)もつくりあへん。

(地方から京へ)全く上がってくるものがないので、(京の人達も)そのようにばかり体裁を保っていられようか。(いや、いられない。)

 

念じわび=バ行上二段動詞「念じ侘ぶ(ねんじわぶ)」の連用形

念ず=サ変動詞、我慢する、耐え忍ぶ。  「名詞+す(サ変動詞)」で一つのサ変動詞になるものがいくらかある。例:「音す」、「愛す」、「ご覧ず」

侘ぶ(わぶ)=バ行上二段動詞、困る、つらいと思う、寂しいと思う。

つつ=接続助詞、①反復「~しては~」②継続「~し続けて」③並行「~しながら」④(和歌で)詠嘆、ここでは①反復「~しては~」の意味。

さまざま=名詞

=格助詞

財物=名詞

かたはし=名詞

より=格助詞、(起点)~から、(手段・用法)~で、(経過点)~を通って、(即時:直前に連体形がきて)~するやいなや

捨つる=タ行下二段動詞「捨つ」の連体形

=格助詞

ごとく=比況の助動詞「ごとし」の連用形

すれ=サ変動詞「す」の已然形、する。

ども=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。

さらに=下に打消語を伴って、「まったく~ない、決して~ない」。ここでは「なし」が打消語

=名詞

見立つる=タ行下二段動詞「見立つ」の連体形

=名詞

なし=ク活用の形容詞「無し」の終止形

 

念じわびつつ、さまざまの財物かたはしより捨つるがごとくすれども、さらに目見立つる人なし。

がまんできなくなっては、さまざまな財物を片っ端から捨てるかのように(食料と交換しようと)するけれども、まったく目をとめる人もいない。

 

 

たまたま=副詞

換ふる=ハ行下二段動詞「換ふ(かふ)」の連体形

もの=名詞

=係助詞

=名詞

=格助詞

軽く=ク活用の形容詞「軽し」の連用形

=サ変動詞「す」の連用形、する。

(ぞく)=名詞

=格助詞

重く=ク活用の形容詞「重し」の連用形

=サ変動詞「す」の終止形、する。

乞食(こつじき)=名詞

(みち)=名詞

=格助詞

ほとり=名詞

=格助詞

多く=ク活用の形容詞「多し」の連用形

憂へ=ハ行下二段動詞「憂ふ(うれふ)」の連用形

悲しむ=マ行四段動詞「悲しむ」の連体形

=名詞

=名詞

=格助詞

満て=タ行四段動詞「満つ(みつ)」の已然形

=完了の助動詞「り」の終止形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

 

たまたま()ふるものは、金を軽くし、(ぞく)を重くす。乞食(こつじき)(みち)のほとりに多く、憂へ悲しむ声耳に満てり。

たまたま交換する者は、財物を軽んじ、穀物を重んじる。乞食は、道ばたに多く、嘆き悲しむ声がいたるところから聞こえた。

 

 

続きはこちら方丈記『養和の飢饉』(2)品詞分解のみ

 

方丈記『養和の飢饉』まとめ

 

 

 

-古文

© 2024 フロンティア古典教室 Powered by AFFINGER5