フロンティア古典教室

方丈記『養和の飢饉』(2)品詞分解のみ

   

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

方丈記『養和の飢饉』まとめ

 

 

=名詞

=格助詞

=名詞

かく(斯く)=副詞、こう、このように

=格助詞

ごとく=比況の助動詞「ごとし」の連用形

からうじて=副詞、かろうじて、やっとのことで。「辛くして」が音便化したもの

暮れ=ラ行下二段動詞「暮る」の連用形

=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形

 

前の年、かくのごとくからうじて暮れぬ。

前の年は、このようにしてやっとのことで年が暮れた。

 

 

明くる=カ行下二段動詞「明く」の連体形

=名詞

=係助詞

立ち直る=ラ行四段動詞「立ち直る」の終止形

べき=推量の助動詞「べし」の連体形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。㋜推量㋑意志㋕可能㋣当然㋱命令㋢適当のおよそ六つの意味がある。

=疑問の係助詞

=格助詞

思ふ=ハ行四段動詞「思ふ」の連体形

ほど=名詞

=格助詞

あまりさへ=副詞

疫癘(えきれい)=名詞

うち添ひ=ハ行四段動詞「うち添ふ」の連用形

=接続助詞

まさざまに=ナリ活用の形容動詞「まさざまなり」の連用形

跡形(あとかた)=名詞

なし=ク活用の形容詞「無し」の終止形

 

明くる年は立ち直るべきかと思ふほどに、あまりさへ疫癘(えきれい)うち添ひて、まさざまに跡形(あとかた)なし。

翌年は立ち直るだろうかと思っていると、その上に(=()(きん)に加えて)(えき)(びょう)までが加わって、いっそうひどくなり、(立ち直る(きざ)しは)跡形もない

 

 

=名詞

=格助詞

=名詞

みな=副詞

けいし=サ変動詞「けいす」の連用形

ぬれ=完了の助動詞「ぬ」の已然形、接続は連用形

=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

=名詞

=格助詞

(へ)=ハ行下二段動詞「経(ふ)」の連用形

つつ=接続助詞

窮まりゆく=カ行四段動詞「窮まりゆく(きわまりゆく)」の連体形

さま=名詞

小水=名詞

=格助詞

=名詞

=格助詞

たとへ=名詞

=格助詞

かなへ=ハ行四段動詞「叶ふ・適ふ(かなふ)」の已然形。思い通りになる。ぴったりである、適合する。

=存続の助動詞「り」の終止形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

 

世の人みなけいしぬれば、日を経つつ(きわ)まりゆくさま、(しょう)(すい)(いお)のたとへにかなへり。

世間の人々は皆飢えてしまったので、日が経つにつれて困窮していくありさまは、「少水の魚」のたとえにぴったりである。

 

 

はて=名詞

=格助詞

=係助詞

(かさ)=名詞

うち着=カ行上一段動詞「うち着る」の連用形

=名詞

ひき包み=マ行四段動詞「ひき包む」の連用形

よろしき=ク活用の形容詞「宜し(よろし)」の連体形。まあよい、悪くない。ふさわしい。「よし>よろし≧普通≧わろし>あし」みたいなイメージ。

姿=名詞

=サ変動詞「す」の連用形、する。

たる=存続の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

もの=名詞

ひたすらに=ナリ活用の形容動詞「ひたすらなり」の連用形

家ごと=名詞

乞ひ歩く=カ行四段動詞「乞ひ歩く(こひありく)」の終止形

 

はてには(かさ)うち着、足ひき包み、よろしき姿したるもの、ひたすらに家ごと()(あり)く。

ついには笠をかぶり、足を包み、よい身なりをしている者が、ひたすら家ごとに物乞いをして歩きまわっている。

 

 

かく(斯く)=副詞、こう、このように

わび=バ行上二段動詞「侘ぶ(わぶ)」の連用形、困る、つらいと思う、寂しいと思う。

しれ=ラ行下二段動詞「痴る(しる)」の連用形、ぼける、愚かになる。

たる=完了の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

ものども=名詞

=格助詞

歩く=カ行四段動詞「歩く」の終止形

=疑問の係助詞

=格助詞

見れ=マ行上一段動詞「見る」の已然形

=接続助詞、直前が已然形であり、②偶然条件「~ところ・~と」の意味で使われている。

すなはち=副詞

倒れ伏し=サ行四段動詞「倒れ伏す」の連用形

=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形

 

かくわびしれたるものどもの、歩くかと見れば、すなはち倒れ伏しぬ。

このように困窮してぼけたようになった人々は、歩いているかと見ると、いきなり倒れ伏してしまった。

 

築地(ついいじ)=名詞

=格助詞

つら(面)=名詞、そば、ほとり

=名詞

=格助詞

ほとり=名詞

=格助詞

飢ゑ=ワ行下二段動詞「飢う(うう)」の連用形、ワ行下二段活用の動詞は「植う(うう)」・「飢う(うう)」・「据う(すう)」の3つしかないと思ってよいので、大学受験に向けて覚えておくとよい。

死ぬる=ナ変動詞「死ぬ」の連体形

もの=名詞

=格助詞

たぐひ=名詞

=名詞

=係助詞

知ら=ラ行四段動詞「知る」の未然形

=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形

 

築地(ついいじ)のつら、道のほとりに、()ゑ死ぬるもののたぐひ、数も知らず。

()(べい)のそばや、道端には、飢え死にした者のたぐいが、数えきれない。

 

 

取り捨つる=タ行下二段動詞「取り捨つ」の連体形

わざ=名詞、こと、事の次第。おこなひ、動作、しわざ、仕事。仏事、法事、法会

=係助詞

知ら=ラ行四段動詞「知る」の未然形

=打消の助動詞「ず」の已然形、接続は未然形

=接続助詞、直前が已然形であり、①原因・理由「~なので、~から」の意味で使われている。

臭き=ク活用の形容詞「臭し(くさし)」の連体形

(か)=名詞

世界=名詞

=格助詞

満ち満ち=タ行四段動詞「満ち満つ」の連用形

=接続助詞

変はりゆく=カ行四段動詞「変はりゆく」の連体形

かたち(容貌)=名詞、姿、容貌、外形、顔つき

ありさま=名詞

=名詞

=係助詞

当て=タ行下二段動詞「当つ」の未然形

られ=可能の助動詞「らる」の未然形、接続は未然形。「る」には「受身・尊敬・自発・可能」の四つの意味があるがここは文脈判断。平安以前では下に打消が来て「可能」の意味で用いられることが多い。平安以前では「可能」の意味の時は下に「打消」が来るということだが、下に「打消」が来ているからといって「可能」だとは限らない。鎌倉以降は「る・らる」単体でも可能の意味で用いられるようになった。

=打消の助動詞「ず」の連体形、接続は未然形

こと=名詞

多かり=ク活用の形容詞「多し」の終止形。「多かり」は活用表で判断すると連用形であり、終止形ではないはずだが、このように終止形として使うことがある。  同様の例外として「同じ(シク活用)」が存在する。例:「同じ(連体形)/顔(名詞)」

 

取り捨つるわざも知らねば、(くさ)()、世界に満ち満ちて、変はりゆくかたちありさま、目も当てられぬこと多かり。

(死体を)取り片づける方法も分からないので、くさいにおいが、辺り一面に充満し、(腐って)変わってゆく顔や(体の)様子は、目も当てられないことが多い。

 

 

いはんや=副詞

河原=名詞

など=副助詞

=格助詞

=係助詞

=名詞

=名詞

=格助詞

行き交ふ=ハ行四段動詞「行き交ふ」の連体形

=名詞

だに=副助詞、類推(~さえ・~のようなものでさえ)。強調(せめて~だけでも)。添加(~までも)

なし=ク活用の形容詞「無し」の終止形

 

いはんや、河原などには、馬・車の行き()ふ道だになし。

まして、(鴨川の)河原などには、(死体が散らばっていて)馬や車が行き来する道さえない。

 

 

あやしき=シク活用の形容詞「怪し・奇し/賤し(あやし)」の連体形、不思議だ、変だ。/身分が低い、卑しい。見苦しい、みすぼらしい

(しず)=名詞

山賤(やまがつ)=名詞、きこりや猟師などといった山里に住む身分の低い者。

=係助詞

=名詞

尽き=カ行上二段動詞「尽く」の連用形

=接続助詞

(たきぎ)=名詞

さへ=副助詞、添加(~までも)。類推(~さえ)。

乏しく=シク活用の形容詞「乏し(ともし)」の連用形

なりゆけ=カ行四段動詞「成り行く」の已然形

=接続助詞、直前が已然形であり、①原因・理由「~なので、~から」の意味で使われている。

頼む=マ行四段動詞「頼む(たのむ)」の連体形。頼みに思う、あてにする。

※四段活用と下二段活用の両方になる動詞があり、下二段になると「使役」の意味が加わり、「頼みに思わせる、あてにさせる」といった意味になる。

かた(方)=名詞

なき=ク活用の形容詞「無し」の連体形

=名詞

=係助詞

自ら=名詞

=格助詞

=名詞

=格助詞

こぼち=タ行四段動詞「毀つ(こぼつ)」の連用形、壊す、崩す。

=接続助詞

=名詞

=格助詞

出で=ダ行下二段動詞「出づ」の連用形

=接続助詞

売る=ラ行四段動詞「売る」の終止形

 

あやしき(しず)(やま)がつも力尽きて、(たきぎ)さへ(とも)しくなりゆけば、頼むかたなき人は、自らが家をこぼちて、市に出でて売る。

身分の低い者や、木こりも力尽きて、薪までも(とぼ)しくなってゆくので、あてにする方法がない人は、自分の家を壊して、(それを薪として)市場に出て売る。

 

 

一人=名詞

=格助詞

持ち=タ行四段動詞「持つ」の連用形

=接続助詞

出で=ダ行下二段動詞「出づ」の連用形

たる=完了の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

(あたい)=名詞

一日=名詞

=格助詞

=名詞

=格助詞

だに=副助詞、類推(~さえ・~のようなものでさえ)。強調(せめて~だけでも)。添加(~までも)

及ば=バ行四段動詞「及ぶ」の未然形

=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形

=格助詞

=強調の係助詞

 

一人が持ちて出でたる(あたい)、一日が命にだに及ばずとぞ。

一人が持って出た(薪の)値段は、一日の命(をつなぐ食料の代金)にさえ及ばないということだ。

 

あやしき=シク活用の形容詞「怪し・奇し/賤し(あやし)」の連体形、不思議だ、変だ。/身分が低い、卑しい。見苦しい、みすぼらしい

=名詞

=係助詞

=名詞

=格助詞

=名詞

=格助詞

赤き=ク活用の形容詞「赤し」の連体形

(に)=名詞

着き=カ行四段動詞「着く」の連用形

(はく)=名詞

など=副助詞

所々=名詞

=格助詞

見ゆる=ヤ行下二段動詞「見ゆ」の連体形

=名詞

あひまじはり=ラ行四段動詞「あひまじはる」の連用形

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形

=格助詞

尋ぬれ=ナ行下二段動詞「尋ぬ(たづぬ)」の已然形

=接続助詞、直前が已然形であり、②偶然条件「~ところ・~と」の意味で使われている。

 

あやしき事は、薪の中に、赤き()着き、(はく)など所々に見ゆる木、あひまじはりけるを尋ぬれば、

不思議なことは、薪の中に、赤い丹(=塗料)が付着し、(金箔や銀箔といった)箔などが所々に見える木が、まじっていたのを調べてみると、

 

 

=サ変動詞「す」の終止形、する。

べき=可能の助動詞「べし」の連体形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。「べし」は㋜推量㋑意志㋕可能㋣当然㋱命令㋢適当のおよそ六つの意味がある。

かた(方)=名詞

なき=ク活用の形容詞「無し」の連体形

すべきかたなし=どうしようもない。

=名詞

古寺=名詞

=格助詞

至り=ラ行四段動詞「至る」の連用形

=接続助詞

=名詞

=格助詞

盗み=マ行四段動詞「盗む」の連用形

=名詞

=格助詞

物の具=名詞、仏具。

=格助詞

破り取り=ラ行四段動詞「破り取る」の連用形

=接続助詞

割り砕け=カ行四段動詞「割り砕く」の已然形

=完了の助動詞「り」の連体形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

なり=断定の助動詞「なり」の連用形、接続は体言・連体形

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

 

すべきかたなき者、古寺に至りて仏を盗み、堂の物の具を破り取りて、()(くだ)けるなりけり。

どうしようもなくなった者が、古寺に行って仏像を盗み、お堂の仏具を壊し取って、(薪として売るために)割り砕いたのであった。

 

 

濁悪世(じょくあくせ)=名詞

=格助詞

しも=強意の副助詞。強意なので訳す際には気にしなくても良い。「し」=強意の副助詞  「も」=強調の係助詞

生まれ合ひ=ハ行四段動詞「生まれ合ふ」の連用形

=接続助詞

かかる=連体詞、あるいはラ変動詞「かかり」の連体形。このような、こういう。

心憂き=ク活用の形容詞「心憂し(こころうし)」の連体形、いやだ、不愉快だ。情けない、つらい。残念だ、気にかかる。

わざ=名詞、こと、事の次第。おこなひ、動作、しわざ、仕事。仏事、法事、法会

=格助詞

なん(なむ)=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

=マ行上一段動詞「見る」の連用形

侍り=補助動詞ラ変「侍り(はべり)」の連用形、丁寧語。

※「候(さうらふ/さぶらふ)・侍り(はべり)」は補助動詞だと丁寧語「~です、~ます」の意味であるが、本動詞だと、丁寧語「あります、ございます、おります」と謙譲語「お仕え申し上げる、お控え申し上げる」の二つ意味がある。

=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形。係助詞「なん(なむ)」を受けて連体形となっている。係り結び。

 

(じょく)(あく)()にしも生まれ合ひて、かかる心憂きわざをなん見侍りし。

(けが)や罪悪に満ちた末法の世に生まれ合わせて、このような情けない行いを見たことでした。

 

 

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方丈記『養和の飢饉』まとめ

 

 

 

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