古文

大鏡『雲林院の菩提講』品詞分解のみ(1)

青=現代語訳

 大鏡『雲林院の菩提講』まとめ

 

先つころ=名詞

雲林院=名詞

=格助詞

菩提講=名詞

=格助詞

詣で=ダ行下二段動詞「詣づ/参づ(もうづ)」の連用形、「行く」の謙譲語。参る、参上する。お参りする。

=接続助詞

侍り=補助動詞ラ変「侍り(はべり)」の連用形、丁寧語。

※「候ふ(さぶらふ)・侍り(はべり)」は補助動詞だと丁寧語「~です、~ます」の意味であるが、本動詞だと、丁寧語「あります、ございます、おります」と謙譲語「お仕え申し上げる、お控え申し上げる」の二つ意味がある。

しか=過去の助動詞「き」の已然形、接続は連用形

=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして②の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

 

先つころ、()(りん)(いん)()(だい)(こう)に詣でて侍りしかば、

先頃、雲林院の菩提講に参詣しましたところ、

 

 

=名詞、いつもの事、普段。当たり前の事、普通。

=格助詞

=名詞

より=格助詞

=係助詞

こよなう=ク活用の形容詞「こよなし」の連用形が音便化したもの、(優劣にかかわらず)違いがはなはだしいこと、この上なく

年老い=ヤ行下二段動詞「年老ゆ」の連用形

うたてげなる=ナリ活用の形容動詞「うたてげなり」の連体形、異様な感じだ。嫌だ、見苦しい。

翁(おきな)=名詞

二人=名詞

嫗(おうな)=名詞

=格助詞

行き会ひ=ハ行四段動詞「行き会ふ」の連用形

=接続助詞

同じ=シク活用の形容詞「同じ」の連体形。活用表から判断すると「同じ」は終止形のはずだが、例外として連体形として扱う。もう一つの例外として「多かり。」を終止形として扱うことになっている。

=名詞

=格助詞

=ワ行上一段動詞「居る(ゐる)」の連用形。上一段活用の動詞は「{ ひ・い・き・に・み・ゐ } る」と覚える。

=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形

めり=推定の助動詞「めり」の終止形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。係助詞「ぞ」を受けて連体形となっている。係り結び。視覚的なこと(見たこと)を根拠にする推定の助動詞である。

 

例の人よりはこよなう年老い、うたてげなる(おきな)二人、(おうな)と行き会ひて、同じ所に居ぬめり。

普通の人よりはこの上なく年老いて、異様な感じのおじいさんが二人と、おばあさん(一人)とが出会って、同じ所に座ったようです。

 

 

あはれに=ナリ活用の形容動詞「あはれなり」の連用形。「あはれ」はもともと感動したときに口に出す感動詞であり、心が動かされるという意味を持つ。しみじみと感じられる、しみじみと思う、しみじみとした情趣がある。

同じ=シク活用の形容詞「同じ」の連体形。

やうなる=比況の助動詞「やうなり」の連体形

もの=名詞

=格助詞

さま=名詞

かな=詠嘆の終助詞

=格助詞

=マ行上一段動詞「見る」の連用形

侍り=補助動詞ラ変「侍り(はべり)」の連用形、丁寧語。

=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

=接続助詞

 

あはれに、同じやうなるもののさまかなと見侍りしに、

しみじみと、同じような老人たちだなあと見ていましたところ、

 

 

これら=代名詞

うち笑ひ=ハ行四段動詞「うち笑ふ」の連用形

見かはし=サ行四段動詞「見かはす」の連用形

=接続助詞

言ふ=ハ行四段動詞「言ふ」の連体形

やう=名詞

 

これらうち笑ひ、見かはして言ふやう、

この老人たちが笑って、顔を見合わせて言うことには、

 

 

年ごろ=名詞、長年、数年間、長い間

=名詞

=格助詞

=名詞

=格助詞

対面し=サ変動詞「対面す」の連用形。  「名詞+す(サ変動詞)」で一つのサ変動詞になるものがいくらかある。例:「音す」、「愛す」、「ご覧ず」

=接続助詞

いかで=副詞、(疑問・反語で)どうして、どのようにして、どういうわけで。どうにかして。どうであろうとも、なんとかして。

世の中=名詞

=格助詞

見聞く=カ行四段動詞「見聞く」の連体形

=名詞

=格助詞

=係助詞

聞こえ合はせ=サ行下二段動詞「聞こえ合はす」の未然形

=意志の助動詞「む」の終止形、接続は未然形。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

 

「年ごろ、昔の人に対面して、いかで世の中の見聞く事をも聞こえ合はせむ、

「長い間、昔なじみの人に会って、どうにかして世の中で見聞きしたことを話し合いたい、

 

 

=代名詞

=格助詞

ただ今=名詞

=格助詞

入道殿下=名詞

=格助詞

御有様=名詞

=格助詞

=係助詞

申し合はせ=サ行下二段動詞「申し合はす」の未然形

ばや=願望の終助詞、接続は未然形

=格助詞

思ふ=ハ行四段動詞「思ふ」の連体形

=接続助詞

あはれに=ナリ活用の形容動詞「あはれなり」の連用形。「あはれ」はもともと感動したときに口に出す感動詞であり、心が動かされるという意味を持つ。しみじみと感じられる、しみじみと思う、しみじみとした情趣がある。

嬉しく=シク活用の形容詞「嬉し」の連用形

=係助詞

会ひ=ハ行四段動詞「会ふ」の連用形

申し=サ行四段動詞「申す」の連用形、「言ふ」の謙譲語。

たる=完了の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

かな=詠嘆の終助詞

 

このただ今の入道殿下の御有様をも申し合はせばやと思ふに、あはれに嬉しくも会ひ申したるかな。

(また、)現在の入道殿下(=藤原道長)のご様子をも話し合いたいと思っていたところ、しみじみと嬉しいことに、お会いしたことだなあ。



 

=名詞

=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

心やすく=ク活用の形容詞「心やすし」の連用形

黄泉路(よみじ)=名詞

=係助詞

まかる=ラ行四段動詞「まかる」の終止形、謙譲語。退出する。参る。

べき=可能の助動詞「べし」の連体形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。係助詞「ぞ」を受けて連体形となっている。係り結び。「べし」は㋜推量㋑意志㋕可能㋣当然㋱命令㋢適当のおよそ六つの意味がある。

 

今ぞ心やすく黄泉路(よみじ)もまかるべき。

今こそ安心してあの世にも参ることができます。

 

 

おぼしき=シク活用の形容詞「思し(おぼし)」の連体形

こと=名詞

言は=ハ行四段動詞「言ふ」の未然形

=打消の助動詞「ず」の連体形、接続は未然形

=係助詞

げに(実に)=副詞、なるほど、実に、まことに。本当に。

=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

=名詞

ふくるる=ラ行下二段動詞「ふくる」の連体形

心地=名詞

=サ変動詞「す」の連用形

ける=詠嘆の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。係助詞「ぞ」を受けて連体形となっている。係り結び。「けり」は過去の意味で使われることがほとんどだが、①和歌での「けり」②会話文での「けり」③なりけりの「けり」では詠嘆に警戒する必要がある。①はほぼ必ず詠嘆だが、②③は文脈判断。

 

おぼしきこと言はぬは、げにぞ腹ふくるる心地しける。

心に思っていることを言わないのは、(ことわざにあるように)本当に腹がふくれるような(不快な)気持ちがしますよ。

 

 

かかれば=接続助詞

こそ=強調の係助詞

=名詞

=格助詞

=名詞

=係助詞

もの言は=ハ行四段動詞「もの言ふ」の未然形

まほしく=希望・願望の助動詞「まほし」の連用形、接続は未然形

なれ=ラ行四段動詞「成る」の已然形

=接続助詞、直前が已然形であり、②偶然条件「~ところ・~と」の意味で使われている。

=名詞

=格助詞

掘り=ラ行四段動詞「掘る」の連用形

=接続助詞

=係助詞

言ひ=ハ行四段動詞「言ふ」の連用形

入れ=ラ行下二段動詞「入る」の連用形

侍り=補助動詞ラ変「侍り(はべり)」の連用形、丁寧語。

けめ=過去推量の助動詞「けむ」の已然形、接続は連用形。係助詞「こそ」を受けて已然形となっている。係り結び。基本的に「けむ」は文末に来ると「過去推量・過去の原因推量」、文中に来ると「過去の伝聞・過去の婉曲」。

=格助詞

おぼえ=ヤ行下二段動詞「思ゆ・覚ゆ(おぼゆ)」の連用形。「ゆ」には受身・自発・可能の意味が含まれている。

侍り=補助動詞ラ変「侍り(はべり)」の終止形、丁寧語。

 

かかればこそ、昔の人はもの言はまほしくなれば、穴を掘りては言ひ入れ侍りけめとおぼえ侍り。

だから、昔の人は何か言いたくなると、穴を掘っては(その穴の中に言いたいことを)言い入れていたのでしょうと思います。

 

 

かへすがへす=副詞

嬉しく=シク活用の形容詞「嬉し」の連用形

対面し=サ変動詞「対面す」の連用形。  「名詞+す(サ変動詞)」で一つのサ変動詞になるものがいくらかある。例:「音す」、「愛す」、「ご覧ず」

たる=完了の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

かな=詠嘆の終助詞

 

かへすがへす嬉しく対面したるかな。

かえすがえすうれしくもお会いしたことですよ。

 

 

さても=副詞、そういう状態でも、それにしても、そのままでも、そうであっても

いくつ=名詞

=格助詞

=疑問の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

なり=ラ行四段動詞「成る」の連用形

給ひ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連用形、尊敬語。

ぬる=完了の助動詞「ぬ」の連体形、接続は連用形。係助詞「か」を受けて連体形となっている。係り結び。

=格助詞

言へ=ハ行四段動詞「言ふ」の已然形

=接続助詞、直前が已然形であり、②偶然条件「~ところ・~と」の意味で使われている。

 

さても、いくつにかなり給ひぬる。」と言へば、

それにしても、(あなたは)いくつにおなりになりましたか。」と言うと、

 

 

=名詞

一人=名詞

=格助詞

翁(おきな)=名詞

いくつ=名詞

=格助詞

いふ=ハ行四段動詞「言ふ」の連体形

こと=名詞

さらに=下に打消語を伴って、「まったく~ない、決して~ない」。ここでは「ず」が打消語

おぼえ=ヤ行下二段動詞「思ゆ・覚ゆ(おぼゆ)」の連用形。「ゆ」には受身・自発・可能の意味が含まれている。

侍ら=補助動詞ラ変「侍り(はべり)」の未然形、丁寧語。

=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形

 

今一人の翁、「いくつといふこと、さらにおぼえ侍らず。

もう一人のおじいさんが、「何歳かということは、全く覚えていません。

 

 

ただし=接続詞

己(おのれ)=名詞

=係助詞

故太政大臣貞信公=名詞

蔵人の少将=名詞

=格助詞

申し=サ行四段動詞「申す」の連用形、「言ふ」の謙譲語。

=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

折(おり)=名詞、時、場合、機会、季節。

=格助詞

小舎人童=名詞

大犬丸=名詞

=強調の係助詞

かし=念押しの終助詞、文末に用いる、~よ。~ね。

 

ただし、(おのれ)は、()太政大臣(だいじょうのおとど)(てい)(しん)(こう)蔵人(くろうど)の少将と申しし折の()舎人(どねり)(わらわ)(おお)(いぬ)(まろ)ぞかし。

しかし、私は、亡き太政大臣貞信公(=藤原忠平)が、蔵人の少将と申した頃の小舎人童で、大犬丸という者ですよ。

 

 

ぬし=代名詞

=係助詞

=代名詞

=格助詞

御時=名詞

=格助詞

母后=名詞

=格助詞

=名詞

=格助詞

御方=名詞

=格助詞

召し使ひ=名詞

高名=名詞

=格助詞

大宅世継=名詞

=格助詞

=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

言ひ=ハ行四段動詞「言ふ」の連用形

侍り=補助動詞ラ変「侍り(はべり)」の連用形、丁寧語。

=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形。係助詞「ぞ」を受けて連体形となっている。係り結び。

かな=詠嘆の終助詞

 

ぬしはその御時の(はは)(きさき)(みや)の御方の召し使ひ、(こう)(みょう)(おお)(やけの)()(つぎ)とぞ言ひ侍りしかな。

あなたはその御代(=宇多天皇の時代)の母后の宮様の召し使いで、有名な大宅世継と言いましたなあ。

 

 

されば=接続助詞、それゆえ、それで。そもそも、いったい

ぬし=名詞

=格助詞

御年=名詞

=係助詞

己(おのれ)=名詞

=格助詞

=係助詞

こよなく=ク活用の形容詞「こよなし」の連用形、(優劣にかかわらず)違いがはなはだしいこと、この上なく。

まさり=ラ行四段動詞「増さる・勝る(まさる)」の連用形、すぐれる、勝る。増える、強まる。

給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。

=存続の助動詞「り」の未然形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

=推量の助動詞「む」の終止形、接続は未然形。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

かし=念押しの終助詞、文末に用いる、~よ。~ね。

 

されば、ぬしの御年は、己にはこよなくまさり給へらむかし。

それならば、あなたのお年は、私よりもこの上なく上でいらっしゃるでしょうよ。



 

みづから=名詞

=格助詞

小童(こわらわ)=名詞

=断定の助動詞「なり」の連用形、接続は体言・連体形。

=接続助詞

あり=ラ変動詞「あり」の連用形

=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

=名詞

ぬし=名詞

=係助詞

二十五=名詞

=名詞

ばかり=副助詞、(程度)~ほど・ぐらい。(限定)~だけ。

=格助詞

=名詞

=断定の助動詞「なり」の連用形

=接続助詞

こそ=強調の係助詞、結びは已然形となる。係り結び。

=係助詞

いませ=補助動詞サ変「います」の未然形、尊敬語。

しか=過去の助動詞「き」の已然形、接続は連用形だが、カ変・サ変に接続するときは、接続が未然形になることがある。係助詞「こそ」を受けて已然形となっている。係り結び。

=格助詞

言ふ=ハ行四段動詞「言ふ」の終止形

めれ=推定の助動詞「めり」の已然形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。視覚的なこと(見たこと)を根拠にする推定の助動詞である。

=接続助詞、直前が已然形であり、②偶然条件「~ところ・~と」の意味で使われている。

 

みづからが小童にてありし時、ぬしは二十五、六ばかりの男にてこそはいませしか。」と言ふめれば、

私が子どもであった時、あなたは二十五、六歳ぐらいの(立派な)男でいらっしゃいました。」と言うと、

 

 

世継=名詞

しかしか=感動詞、そうそう、そのとおり。

「しか(然)」=副詞、そう、そのように、そのとおり。

=副詞、そう、その通りに、そのように。

侍り=ラ変動詞「侍り(はべり)」の連用形、「あり・居り」の丁寧語。

=過去の助動詞「き」の連体形

こと=名詞

なり=断定の助動詞「なり」の終止形、接続は体言・連体形

 

世継、「しかしか、さ侍りしことなり。

世継が、「そうそう、そうでございました。

 

 

さても=副詞、そういう状態でも、それにしても、そのままでも、そうであっても

ぬし=名詞

=格助詞

御名=名詞

=係助詞

いかに=副詞、どんなに、どう。

=強調の係助詞

=疑問の係助詞

=格助詞

言ふ=ハ行四段動詞「言ふ」の終止形

めれ=推定の助動詞「めり」の已然形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。視覚的なこと(見たこと)を根拠にする推定の助動詞である。

=接続助詞、直前が已然形であり、②偶然条件「~ところ・~と」の意味で使われている。

 

さてもぬしの御名はいかにぞや。」と言ふめれば、

ところであなたのお名前は何とおっしゃいましたか。」と言うと、

 

 

太政大臣殿=名詞

にて=格助詞

元服=名詞

つかまつり=ラ行四段動詞「仕奉る(つかまつる)」の連用形、(謙譲語)お仕えする、~し申し上げる、いたす。

=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

=名詞

きむぢ=代名詞、おまえ、きみ。

=格助詞

=名詞

=係助詞

=代名詞

=強調の係助詞

=格助詞

仰せ=サ行下二段動詞「仰す(おほす)」の未然形。「言ふ」の尊敬語、おっしゃる。動作の主体である太政大臣貞信公(=藤原忠平)を敬っている。夏山からの敬意。

られ=尊敬の助動詞「らる」の連用形、接続は未然形。直前の「仰せ」と合わせて二重敬語、いずれも太政大臣貞信公(=藤原忠平)を敬っている。助動詞「らる」には「受身・尊敬・自発・可能」の4つの意味があるが、「仰せらる」の場合の「らる」は必ず「尊敬」と思ってよい。

しか=過去の助動詞「き」の已然形、接続は連用形。

=接続助詞、直前が已然形であり、①原因・理由「~なので、~から」の意味で使われている。

 

「太政大臣殿にて元服つかまつりし時、『きむぢが姓は何ぞ。』と仰せられしかば、

「太政大臣殿のお屋敷で元服いたしました時、(貞信公が)『お前の姓は何と言うのか。』とおっしゃったので、



 

夏山=名詞

=格助詞

なむ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び

申す=サ行四段動詞「申す」の連体形、「言ふ」の謙譲語。係助詞「なむ」を受けて連体形となっている。係り結び。

=格助詞

申し=サ行四段動詞「申す」の連用形、「言ふ」の謙譲語。

=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

=接続助詞

 

『夏山となむ申す。』と申ししを、

『夏山と申します。』と申し上げたところ、

 

 

やがて=副詞、すぐに。そのまま。

繁樹=名詞

=格助詞

なむ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び

つけ=カ行下二段動詞「付く」の未然形

させ=尊敬の助動詞「さす」の連用形、接続は未然形。「す・さす・しむ」は直後に尊敬語が来ていないときは「使役」だが、尊敬語が来ているときは文脈判断。「給ふ」と合わせて二重敬語となっており、動作の主体である太政大臣貞信公(=藤原忠平)を敬っている。夏山からの敬意。

給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。

=完了の助動詞「り」の連用形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形。係助詞「なむ」を受けて連体形となっている。係り結び。

など=副助詞

言ふ=ハ行四段動詞「言ふ」の連体形

=接続助詞

 

やがて、繁樹となむつけさせ給へりし。」など言ふに、

すぐに、繁樹とお名付けになりました。」などと言うので、

 

 

いと=副詞

あさましう=シク活用の形容詞「あさまし」の連用形が音便化したもの、驚きあきれる、意外でびっくりすることだ。あまりのことにあきれる。なさけない。

なり=ラ行四段動詞「成る」の連用形

=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形

 

いとあさましうなりぬ。

(私は、あまりにも古い話なので、)とても驚きあきれてしまった。

 

 

続きはこちら大鏡『雲林院の菩提講』品詞分解のみ(2)

 

 大鏡『雲林院の菩提講』まとめ

 

 

 

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