フロンティア古典教室

『晏子の御』原文・書き下し文・現代語訳

      2016/03/01

青=現代語訳・下小文字=返り点・上小文字=送り仮名・解説=赤字

 

 

晏子為リシトキ。出ヅルニ、其()妻、従リシテ門間而闚

(あん)()(せい)(しょう)たりしとき()()(ぎょ)(つま)(もん)(かん)よりして()(おっと)(うかが)

※御=御者、馬車に乗って馬を操る人

晏子が斉の国の宰相であった時、出かけた。その(晏子の)御者の妻が、門の隙間から自分の夫の様子をうかがっていた。

 

 

夫為、擁大蓋、策ウチ駟馬、意気揚揚トシテ、甚自得スル(なり)

()(おっと)(しょう)(ぎょ)()り、(たい)(がい)(よう)し、()()(むち)()()(よう)(よう)として(はなは)()(とく)するなり。

 

その夫は宰相(=晏子)の御者となり、馬車の大きな傘のそばに座り、四頭立ての(貴人が載るような)馬車にムチをうって、意気揚々として、非常に得意そうであった。

 

 

ニシテ而帰。其妻請ランコトヲ。夫問

(すで)にして(かえ)()(つま)()らんことを()ふ。(おっと)()(ゆえ)()

※而=置き字(順接・逆接)

やがて(御者の夫が)帰って来た。その妻は(夫に)家を出て行きたいと願い出た。夫はその理由を尋ねた。

 

 

妻曰ハク、「晏子()ルニ六尺、身トシテ斉国、名諸侯

(つま)()はく(あん)()(たけ)(ろく)(しゃく)()ざるに、()(せい)(こく)(しょう)として()(しょ)(こう)(あらわ)

 

妻が言うことには、「晏子様は身長が六尺に満たないのに、その身は斉の国の宰相として、その名は諸侯に知れ渡っています。

 

 

今者、妾観ルニヅルヲ、志念深矣。常ツテ

()()(しょう)()()づるを()るに、()(ねん)(ふか)(つね)()つて(みずか)(くだ)(こと)()

※矣=置き字(断定・強調)

今、私があの方がお出かけになるを拝見したところ、思慮深そうなご様子でした。いつも自らへりくだっている態度でいらっしゃいます。

 

 

今、子長八尺ナルニ、乃僕御。然ルニ()意、自ツテレリト

(いま)()(たけ)(はっ)(しゃく)なるに、(すなわ)(ひと)(ぼく)(ぎょ)たり。(しか)るに()()(みずか)()つて()れりと()()

 

(ところが)今、あなたは身長が八尺もあるのに、(その身は)人に仕える御者であります。それなのにあなたの心は、このことに満足しておられるようです。

 

 

妾是ツテムルランコトヲ(なり)。」

(しょう)(ここ)()つて()らんことを(もと)むるなり」と。

 

私はこういうわけで、家を出て行きたいと求めたのです」と。

 

 

後夫自抑損

()(のち)(おっと)(みずか)(よく)(そん)

 

その後、夫は自らひかえめな態度を取るようになった。

 

 

晏子怪シミテ而問。御以ツテ。晏子薦メテツテ大夫

(あん)()(あや)しみて(これ)()ふ。(ぎょ)(じつ)()つて(こた)(あん)()(すす)めて()つて(たい)()()

 

晏子は不思議に思ってその理由を尋ねた。御者は事実の通りに答えた。晏子は(この御者を)推薦して大夫に取り立てた。

 

 

 

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