フロンティア古典教室

徒然草『これも仁和寺の法師』解説・品詞分解(2)

      2016/06/08

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

徒然草『これも仁和寺の法師』まとめ

 

 

医師のもとにさし入りて、向かひ たり けむありさま、 こそ 異様なり けめ

 

ゐ=ワ行上一段動詞「居る(ゐる)」の連用形。上一段活用の動詞は「{ ひ・い・き・に・み・ゐ } る」と覚える。

 

たり=完了の助動詞「たり」の連用形、接続は連用形

 

けむ=過去推量の助動詞「けむ」の連体形、接続は連用形

 

さ=副詞、そう、その通りに、そのように。

 

こそ=強調の係助詞、結びは已然形となる。係り結び。

 

異様なり=ナリ活用の形容動詞「異様なり(ことさまなり)」の連用形、様子が普通と異なっている、風変わりだ、異様だ。出家した姿である。

 

けめ=過去推量の助動詞「けむ」の已然形、接続は連用形。係助詞「こそ」を受けて已然形となっている。係り結び。

 

医者の家に入って、(医者に)向かって座っていたであろう様子は、さぞかし異様なものであっただろう。

 

 

ものを言ふもくぐもり声に響きて聞え

 

ず=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形。

 

ものを言っても、こもり声で響いて聞きとれない。

 

 

かかることは文にも見え、伝へたる教へもなし。」と言へ

 

かかる=ラ変動詞「かかり」の連体形、このような、こういう

 

ず=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

 

たる=存続の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

 

ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

 

「このようなことは、(医学の)書物にも書かれてなく、代々伝わっている教えもない。」と(医者が)言うので、

 

 

また仁和(にんな)()へ帰りて、親しき者、老い たる母など、

 

老い=ヤ行上二段動詞「老ゆ」の連用形。ヤ行上二段活用の動詞は「老ゆ・悔ゆ・報ゆ」の3つだけだと思って、受験対策に覚えておいた方がよい。

 

たる=完了の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

 

また仁和寺に帰って、親しい者や、年老いた母などが、

 

 

(まくら)(がみ)に寄りて泣き悲しめども、聞くらむともおぼえ 

 

ゐ=ワ行上一段動詞「居る(ゐる)」の連用形。上一段活用の動詞は「{ ひ・い・き・に・み・ゐ } る」と覚える。

 

ども=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。

 

らむ=現在推量の助動詞「らむ」の終止形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。基本的に「らむ」は文末に来ると「現在推量・現在の原因推量」、文中に来ると「現在の伝聞・現在の婉曲」

 

おぼえ=ヤ行下二段動詞「思ゆ・覚ゆ(おぼゆ)」の未然形、自然に思われる、感じる、思われる。「ゆ」には受身・自発・可能の意味が含まれている。

 

ず=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は連用形

 

枕もとに寄り集まり座って泣き悲しむけれども、(本人は)聞いているだろうとも思われない。

 

 

かかるほどに、ある者の言ふやう、

 

かかる=ラ変動詞「かかり」の連体形、このような、こういう

 

こうしているうちに、ある人が言うことには、

 

 

「たとひ耳鼻こそ切れ失すとも、命ばかりなどか生きざら 

 

こそ=強調の係助詞。結びは已然形となるが、係り結びの消滅が起こっている。本来の結びは「切れ失す」の部分であるが、接続助詞「とも」が来ているため、結びの部分が消滅してしまっている。これを「係り結びの消滅(流れ)」と言う。

 

とも=接続助詞、(逆接の仮定条件)たとえ ~ても

 

ばかり=副助詞、(限定)~だけ。(程度)~ほど・ぐらい。

 

などか=副詞、疑問・反語、どうして~か。「などか」の「か」は係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

 

ざら=打消の助動詞「ず」の未然形、接続は未然形

 

む=推量の助動詞「む」の連体形、接続は未然形。係助詞「か」を受けて連体形となっている。係り結び。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

 

「たとえ耳や鼻が切れてなくなったとしても、命だけはどうして助からないことがあろうか。(いや、命だけは助かるだろう。)

 

 

ただ力を立てて引きたまへ。」とて、

 

たまへ=補助動詞ハ行四段「給ふ」の命令形、尊敬語。

 

ただ力を入れて引っ張りなさい。」と言うので、

 

 

(わら)のしべをまはりにさし入れて、かねを(へだ)てて、首もちぎるばかり引きたるに、耳鼻欠けうげ ながら抜け けり

 

たる=完了の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

 

欠けうげ=下二段動詞「欠けうぐ」の連用形、欠けて穴が開く

 

ながら=接続助詞、次の③の意味で使われている。

①そのままの状態「~のままで」例:「昔ながら」昔のままで

②並行「~しながら・~しつつ」例:「歩きながら」

③逆接「~でも・~けれども」 例:「敵ながら素晴らしい」

④そのまま全部「~中・~全部」例:「一年ながら」一年中

 

に=完了の助動詞「ぬ」の連用形、接続は連用形

 

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

 

藁の(しん)を首のまわりに差し込んで、足鼎を(首から)隔てて、首もちぎれるぐらい引っ張ったところ、耳や鼻が欠けて穴があいたけれども、抜けたのだった。

 

 

からきまうけて、久しく病み たり けり

 

からき=ク活用の形容詞「辛し(からし)」の連体形、あやうい、危ない。つらい、苦しい。ひどい。

 

まうけ=カ行下二動詞「設く・儲く(まうく)」の連用形、得をする、思いがけない利益を得る。準備をする、用意をする

 

ゐ=ワ行上一段動詞「居る(ゐる)」の連用形。上一段活用の動詞は「{ ひ・い・き・に・み・ゐ } る」と覚える。

 

たり=存続の助動詞「たり」の連用形、接続は連用形

 

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

 

危ない命を拾って、(その僧は)長い間病んでいたそうだ。

 

 

問題はこちら徒然草『これも仁和寺の法師』問題

 

徒然草『これも仁和寺の法師』まとめ

 

 

 

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