古文

大和物語『生田川(いくたがわ)』品詞分解のみ(1)

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

大和物語『生田川(いくたがわ)』まとめ

 

 

=名詞

津の国=名詞

=格助詞

住む=マ行四段動詞「住む」の連体形

=名詞

あり=ラ変動詞「あり」の連用形

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

それ=代名詞

=格助詞

よばふ=ハ行四段動詞「呼ばふ」の連体形、呼び続ける、求婚する。(古典において、当時は女性の名を呼ぶことはプロポーズであった。よって、名前を呼び続ける=求婚するという意味で用いられるようになった。)「よぶ(バ行四段動詞)+ふ(継続の助動詞)」で「よばふ」と言う言葉が生まれた。「ふ」は奈良時代の助動詞

=名詞

二人=名詞

なむ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

あり=ラ変動詞「あり」の連用形

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。係助詞「なむ」を受けて連体形となっている。係り結び。

 

昔、津の国に住む女ありけり。それをよばふ男二人なむありける。

昔、摂津の国に住む女がいた。その女に求婚する男が二人いた。

 

 

一人=名詞

=係助詞

=代名詞

=格助詞

=名詞

=格助詞

住む=マ行四段動詞「住む」の連体形

=名詞

(しょう)=名詞

=係助詞

兎原(うばら)=名詞

=断定の助動詞「なり」の連用形、接続は体言・連体形

なむ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び

あり=ラ変動詞「あり」の連用形

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。係助詞「なむ」を受けて連体形となっている。係り結び。

いま=副詞

一人=名詞

=係助詞

和泉(いずみ)の国=名詞

=格助詞

=名詞

=断定の助動詞「なり」の連用形、接続は体言・連体形

なむ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

あり=ラ変動詞「あり」の連用形

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。係助詞「なむ」を受けて連体形となっている。係り結び。

=名詞

=係助詞

茅渟(ちぬ)=名詞

=格助詞

なむ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び

いひ=ハ行四段動詞「言ふ」の連用形

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。係助詞「なむ」を受けて連体形となっている。係り結び。

 

一人はその国に住む男、(しょう)()(ばら)になむありける。いま一人は和泉(いずみ)の国の人になむありける。姓は茅渟(ちぬ)となむ言ひける。

1人はその国(=女と同じ摂津の国)に住む男で、姓は菟原であった。もう一人は和泉の国の人だった。姓は茅渟といった。

 

 

かくて=接続詞、(話題を変えるときに、文頭において)さて、こうして、ところで。副詞、こうして、このようにして

=代名詞

=格助詞

男ども=名詞

年齢(としよわい)=名詞

=名詞

かたち=名詞

=名詞

=格助詞

ほど=名詞

ただ=副詞

同じ=シク活用の形容詞「同じ」の連体形。活用表から判断すると「同じ」は終止形のはずだが、例外として連体形として扱う。もう一つの例外として「多かり。」を終止形として扱うことになっている。

ばかり=副助詞、(程度)~ほど・ぐらい。(限定)~だけ。

なむ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び

あり=ラ変動詞「あり」の連用形

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。係助詞「なむ」を受けて連体形となっている。係り結び。

 

かくてその男ども、(とし)(よわい)、顔かたち、人のほど、ただ同じばかりなむありける。

さて、その男たちは、年齢・容姿・人柄が、まったく同じようであった。

 

 

心ざし=名詞、心を向けるところ。愛情、誠意

=格助詞

まさら=ラ行四段動詞「増さる・勝る(まさる)」の未然形、すぐれる、勝る。増える、強まる。

=仮定・婉曲の助動詞「む」の連体形、接続は未然形。この「む」は、㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文中に来ると「㋕仮定・㋓婉曲」のどれかである。ここは「仮定・婉曲」どちらでも良いかもしれない。

=格助詞

こそ=強調の係助詞、結びは已然形となる。係り結び。

あは=ハ行四段動詞「会ふ・逢ふ(あふ)」の未然形、結婚する

=意志の助動詞「む」の已然形、接続は未然形。係助詞「こそ」を受けて已然形となっている。係り結び。この「む」は、㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

=格助詞

思ふ=ハ行四段動詞「思ふ」の連体形

=格助詞

心ざし=名詞

=格助詞

ほど=名詞

ただ=副詞

同じ=シク活用の形容詞「同じ」の連体形

やうなり=比況の助動詞「やうなり」の終止形

 

「心ざしのまさらむにこそあはめ。」と思ふに、心ざしのほど、ただ同じやうなり。

(女は)「愛情がまさっている者と結婚しよう。」と思ったが、愛情の度合もまったく同じようである。

 

 

暮るれ=ラ行下二段動詞「暮る」の已然形

=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、どちらの「ば」も文脈判断をして③の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

もろともに=副詞

来あひ=ハ行四段動詞「来合ふ」の連用形

=名詞

おこすれ=サ行下二段動詞「遣す(おこす)」の已然形、こちらへ送ってくる、よこす

=接続助詞、直前が已然形であり③恒常条件「(~する)といつも」の意味で使われている。

ただ=副詞

同じ=シク活用の形容詞「同じ」の連体形

やうに=比況の助動詞「やうなり」の連用形

おこす=サ行下二段動詞「遣す(おこす)」の終止形、こちらへ送ってくる、よこす

 

暮るればもろともに来あひ、物おこすれば、ただ同じやうにおこす。

日が暮れるといつもそろって来て出会い、物を送るときもまったく同じように送ってくる。

 

 

いづれ=代名詞

まされ=ラ行四段動詞「増さる・勝る(まさる)」の已然形、すぐれる、勝る。増える、強まる。

=存続の助動詞「り」の終止形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

=格助詞

いふ=ハ行四段動詞「言ふ」の終止形

べく=可能の助動詞「べし」の連用形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。「べし」は㋜推量㋑意志㋕可能㋣当然㋱命令㋢適当のおよそ六つの意味がある。基本的に文脈判断。

=係助詞

あら=ラ変動詞「あり」の未然形

=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形

=名詞

思ひわづらひ=ハ行四段動詞「思ひわづらふ」の連用形

=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形

 

いずれまされりと言ふべくもあらず。女思ひわづらひぬ。

どちらがまさっていると言うこともできない。女は思い悩んでしまった。

 

=代名詞

=格助詞

=名詞

=格助詞

心ざし=名詞

=格助詞

おろかなら=ナリ活用の形容動詞「疎かなり・愚かなり(おろかなり)」の未然形、おろそかだ、いいかげんだ

=接続助詞、直前が未然形なので④仮定条件「もし~ならば」の意味である。

いづれ=代名詞

=格助詞

=係助詞

あふ=ハ行四段動詞「会ふ・逢ふ(あふ)」の終止形、結婚する

まじけれ=打消推量の助動詞「まじ」の已然形、接続は終止形(ラ変なら連体形)

=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。

これ=代名詞

=係助詞

かれ=代名詞

=係助詞

月日=名詞

=格助詞

=ハ行下二段動詞「経(ふ)」の連用形

=接続助詞

=名詞

=格助詞

=名詞

=格助詞

立ち=タ行四段動詞「立つ」の連用形

=接続助詞

よろづ(万)=名詞、すべてのこと、あらゆること。

=格助詞

心ざし=名詞

=格助詞

見え=ヤ行下二段動詞「見ゆ」の連用形、見える。「ゆ」には「受身・自発・可能」の意味が含まれたりもしており、「見ゆ」には多くの意味がある。

けれ=過去の助動詞「けり」の已然形、接続は連用形

=接続助詞、直前が已然形であり①原因・理由「~なので、~から」の意味で使われている。

しわび=バ行上二段動詞「為侘ぶ(しわぶ)」の連用形、処置に困る、もてあます。わぶ=困る、思い悩む。寂しく思う。

=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形

 

この人の心ざしのおろかならば、いづれにもあふまじけれど、これもかれも、月日を経て家の門に立ちて、よろづに心ざしを見えければ、しわびぬ。

この二人の男の愛情がいいかげんであるならば、どちらとも結婚しないだろうが、こちらの男もあちらの男も、長い月日にわたって家の門の所に立って、すべてにわたって愛情の深さが見えたので、どうすればよいか困ってしまった。

 

 

これ=代名詞

より=格助詞、(起点)~から、(手段・用法)~で、(経過点)~を通って、(即時:直前に連体形がきて)~するやいなや

=係助詞

かれ=代名詞

より=格助詞、(起点)~から、(手段・用法)~で、(経過点)~を通って、(即時:直前に連体形がきて)~するやいなや

=係助詞

同じ=シク活用の形容詞「同じ」の連体形

やう(様)=名詞

=格助詞

おこする=サ行下二段動詞「遣す(おこす)」の連体形、こちらへ送ってくる、よこす

物ども=名詞

取り=ラ行四段動詞「取る」の連用形

=係助詞

いれ=ラ行下二段動詞「入る」の未然形

=打消の助動詞「ず」の已然形、接続は未然形

=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。

いろいろに=副詞

もち=タ行四段動詞「持つ」の連用形

=接続助詞

立て=タ行四段動詞「立つ」の已然形

=存続の助動詞「り」の終止形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

 

これよりもかれよりも、同じやうにおこする物ども、取りも入れねど、いろいろに持ちて立てり。

こちらの男からもあちらの男からも、同じように送ってくる物は、受け取りもしないのだが、いろいろと持ってきて(門の所に)立っているのである。

 

 

=名詞

あり=ラ変動詞「あり」の連用形

=接続助詞

かく(斯く)=副詞、このように、こう

見苦しく=シク活用の形容詞「見苦し」の連用形

年月=名詞

=格助詞

(へ)=ハ行下二段動詞「経(ふ)」の連用形

=接続助詞

=名詞

=格助詞

嘆き=名詞

=格助詞

いたづらに=ナリ活用の形容動詞「徒なり(いたづらなり)」の連用形、むだである。むなしい、はかない

負ふ=ハ行四段動詞「負ふ」の連体形

=係助詞

いとほし=シク活用の形容詞「いとほし」の終止形、かわいそうだ、気の毒だ、不憫だ

一人一人(ひとりびとり)=名詞、いづれか一人、どちらか一人

=格助詞

あひ=ハ行四段動詞「会ふ・逢ふ(あふ)」の連用形、結婚する

=完了の助動詞「ぬ」の未然形、接続は連用形

=接続助詞、直前が未然形なので④仮定条件「もし~ならば」の意味である。

いま=副詞

一人=名詞

=格助詞

思ひ=ハ行四段動詞「思ふ」の連用形

=係助詞

絶え=ヤ行下二段動詞「絶ゆ」の連用形

=強意の助動詞「ぬ」の未然形、接続は連用形。「つ・ぬ」は「完了・強意」の二つの意味があるが、直後に推量系統の助動詞「む・べし・らむ・まし」などが来るときには「強意」の意味となる

=推量の助動詞「む」の終止形、接続は未然形。この「む」は、㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

 

親ありて、「かく見苦しく年月を経て、人の(なげ)きをいたづらに負ふもいとほし。一人一人(ひとりびとり)にあひなば、いま一人が思ひは()えなむ。」と言ふに、

(この女には)親がいて、「このようにはたから見ていても心苦しくなる様子で年月を経て、(あなたが)あの人たちの嘆きをどうにもできないで背負っているのもかわいそうだ。どちらか一人と結婚したら、もう一人はきっと断念するだろう。」と言うと、

 

 

=名詞

ここ=代名詞、私、ここ、あなた

=格助詞

=係助詞

=副詞、そのように、その通りに

思ふ=ハ行四段動詞「思ふ」の連体形

=接続助詞

=名詞

=格助詞

心ざし=名詞

=格助詞

同じ=シク活用の形容詞「同じ」の連体形

やうなる=比況の助動詞「やうなり」の連体形

=格助詞

なむ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

思ひわづらひ=ハ行四段動詞「思ひわづらふ」の連用形

ぬる=完了の助動詞「ぬ」の連体形、接続は連用形。係助詞「なむ」を受けて連体形となっている。係り結び。

さらば=接続詞

いかが=副詞

=サ変動詞「す」の終止形

べき=適当の助動詞「べし」の連体形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。「いかが」に含まれる係助詞を受けて連体形となっている。係り結び。「べし」は㋜推量㋑意志㋕可能㋣当然㋱命令㋢適当のおよそ六つの意味がある。基本的に文脈判断。

=格助詞

言ふ=ハ行四段動詞「言ふ」の連体形

=接続助詞

 

女、「ここにもさ思ふに、人の心ざしの同じやうなるになむ、思ひわづらひぬる。さらばいかがすべき。」と言ふに、

女は、「私もそのように思うのですが、二人の思いが同じようなので、悩んでしまっています。それならどうすればよいのでしょうか。」と言うのだが、

 

 

そのかみ=名詞、その当時、その折。昔、過去

生田の川=名詞

=格助詞

つら(面)=名詞、そば、ほとり

=格助詞

=名詞

平張(ひらばり)=名詞

=格助詞

うち=タ行四段動詞「打つ」の連用形

=接続助詞

=ワ行上一段動詞「居る(ゐる)」の連用形、上一段活用の動詞は「{ ひ・い・き・に・み・ゐ } る」

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

 

そのかみ、生田の川のつらに、女、(ひら)(ばり)を打ちてゐけり。

その当時、生田川のほとりに、女は、平張(=平らに張った仮屋)を建てて住んでいた。

 

かかれば=接続詞、このようであるから、だから

=代名詞

=格助詞

よばひ人ども=名詞

=格助詞

呼び=バ行四段動詞「呼ぶ」の連用形

=格助詞

やり=ラ行四段動詞「遣る(やる)」の連用形、(人などを)送る、派遣する

=接続助詞

=名詞

=格助詞

言ふ=ハ行四段動詞「言ふ」の連体形

やう(様)=名詞

 

かかれば、そのよばひ人どもを呼びにやりて、親の言ふやう、

このようであるから、その求婚している人たちを呼びにやって、親が言うには、

 

 

たれ=代名詞

=係助詞

御心ざし=名詞

=格助詞

同じ=シク活用の形容詞「同じ」の連体形

やうなれ=比況の助動詞「やうなり」の已然形

=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

=代名詞

=格助詞

幼き=ク活用の形容詞「幼し」の連体形

=名詞

なむ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

思ひわづらひ=名詞

=断定の助動詞「なり」の連用形、接続は体言・連体形

=接続助詞

はべる=補助動詞ラ変「侍り(はべり)」の連体形、丁寧語。言葉の受け手(聞き手)である男達を敬っている。係助詞「なむ」を受けて連体形となっている。係り結び。

※「候(さうらふ/さぶらふ)・侍り(はべり)」は補助動詞だと丁寧語「~です、~ます」の意味であるが、本動詞だと、丁寧語「あります、ございます、おります」と謙譲語「お仕え申し上げる、お控え申し上げる」の二つ意味がある。

今日=名詞

いかに=副詞

まれ=連語。「も(係助詞)+あれ(ラ変動詞「あり」の命令形)」

いかにまれ=「いかにもあれ」が変化したもの

=代名詞

=格助詞

こと=名詞

=格助詞

定め=マ行下二段動詞「定む」の連用形

=強意の助動詞「つ」の未然形、接続は連用形。「つ・ぬ」は「完了・強意」の二つの意味があるが、直後に推量系統の助動詞「む・べし・らむ・まし」などが来るときには「強意」の意味となる

=意志の助動詞「む」の終止形、接続は未然形。この「む」は、㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

 

「たれも御心ざしの同じやうなれば、この幼き者なむ思ひわづらひにてはべる。今日いかにまれ、このことを定めてむ。

「どちらもお気持ちは同じようなので、このいたらぬ娘が思い悩んでおります。今日はどうあっても、この事について決めてしまいましょう。

 

 

ある=ラ変動詞「あり」の連体形。直後に体言である「人・者」などが省略されているため連体形(体言に連なる形)となっている。

=係助詞

遠き=ク活用の形容詞「遠し」の連体形

=名詞

より=格助詞、(起点)~から、(手段・用法)~で、(経過点)~を通って、(即時:直前に連体形がきて)~するやいなや

いまする=サ変動詞「います」の連体形。「あり・居り・行く・来」の尊敬語、または、これらの使役(いさせる・行かせるなど)。いらっしゃる。お行きになる。いらっしゃるようにさせる。いらっしゃっていただく。

=名詞

あり=ラ変動詞「あり」の終止形

ある=ラ変動詞「あり」の連体形。直後に体言である「人・者」などが省略されているため連体形(体言に連なる形)となっている。

=係助詞

ここ=代名詞

ながら=接続助詞、次の③の意味で使われている。

①そのままの状態「~のままで」例:「昔ながら」昔のままで

②並行「~しながら・~しつつ」例:「歩きながら」

③逆接「~でも・~けれども」 例:「敵ながら素晴らしい」

④そのまま全部「~中・~全部」例:「一年ながら」一年中

=代名詞

=格助詞

いたつき(労き・病き)=名詞、苦労、骨折り。病気

かぎりなし=ク活用の形容詞「限りなし」の終止形

これ=代名詞

=係助詞

かれ=代名詞

=係助詞

いとほしき=シク活用の形容詞「いとほし」の連体形、かわいそうだ、気の毒だ、不憫だ

わざ=名詞、こと、事の次第。おこなひ、動作、しわざ、仕事。仏事、法事、法会。

なり=断定の助動詞「なり」の終止形、接続は体言・連体形

 

あるは遠き所よりいまする人あり。あるはここながらそのいたつきかぎりなし。これもかれもいとほしきわざなり。」

一方は遠い所からいらっしゃる人です。もう一方はこの土地(=摂津)の人ですが、その苦労はこの上ないほどです。どちらもお気の毒なことです。

 

 

=格助詞

言ふ=ハ行四段動詞「言ふ」の連体形

=名詞

=格助詞

いと=副詞

かしこく=ク活用の形容詞「かしこし」の連用形、はなはだしい、たいそう、とても

よろこびあへ=ハ行四段動詞「よろこび合ふ」の已然形

=完了の助動詞「り」の終止形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

 

と言ふ時に、いとかしこくよろこびあへり。

と言うと、(二人の男は)たいそう喜び合った。

 

 

続きはこちら大和物語『生田川(いくたがわ)』品詞分解のみ(2)

 

大和物語『生田川(いくたがわ)』まとめ

 

 

 

-古文

© 2024 フロンティア古典教室 Powered by AFFINGER5