古文

万葉集「紫のにほへる妹を~」解説・品詞分解・現代語訳

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

作者:大海人皇子(おおあまのみこ)、即位後は天武天皇(てんむてんのう)

 

(むらさき)  にほへる(いも)  (にく)くあらば  人妻ゆゑに  我恋ひめやも

 

 

にほへ=ハ行四段動詞「匂ふ(にほふ)」の已然形、美しく映える、美しく咲く。赤く色づく。匂いがする。

 

る=存続の助動詞「り」の連体形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

 

妹(いも)=名詞、妻、親しい女性。対義語「背・兄・夫(せ)」夫、親しい男性

 

ば=接続助詞、直前が未然形だから④仮定条件「もし~ならば」の意味である。ちなみに、直前が已然形ならば①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかである。

 

故(ゆゑ)=名詞、原因、理由。風情、趣。由来、由緒。

 

め=意志の助動詞「む」の已然形、接続は未然形。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

 

や=反語の係助詞

 

も=詠嘆の終助詞

 

紫草のように美しいあなたが憎いと思うならば、あなたが人妻であるというのに、私が恋しく思うことがありましょうか。(いや、憎いなどと思っておらず、恋しく思っております。)

※額田王(ぬかたのおおきみ)が直前に詠んだ「あかねさす柴野行き標野~」の和歌をへの返歌である。

 

 

 

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