「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳」
作者:柿本人麻呂(かきのもとひとまろ)
ささの葉は み山もさやに さやげども 我は妹思ふ 別れ来ぬれば
み山=名詞、「み」は接頭語であまり意味はない。
さやに(清に)=副詞さわさわ、ざわざわなどと音が鳴る様子を表す擬音語。
さやげ=ガ行四段動詞「さやぐ」の已然形、さわさわ、ざわざわと音が立つ
ども=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく
ぬれ=完了の助動詞「ぬ」の已然形、接続は連用形
ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。
笹の葉は山全体をざわざわと音を立てて響いているが、(それで気持ちがまぎれることもなく)私は妻の事を思っている。別れてきてしまったので。
※柿本人麻呂が石見(=島根県西部)にいる妻と別れて上京する際に詠んだ和歌。