青=現代語訳・下小文字=返り点・上小文字=送り仮名・解説=赤字
七言絶句。作者:王昌齢(おうしょうれい)
芙蓉楼ニテ送二ル辛漸一ヲ
芙蓉楼にて辛漸を送る
芙蓉楼で(作者の友人である)辛漸を見送る
寒雨連レナリテ江ニ夜入レル呉ニ
寒雨江に連なりて夜呉に入る
冷たい雨が長江に連なるように降り、夜には(君と一緒に)呉の国に入った。
平明送レレバ客ヲ楚山孤ナリ
平明客を送れば楚山孤なり
夜明けごろ、(洛陽へと)旅立つ君を見送ると、楚の山が一つそびえている。
洛陽ノ親友如シ相問ハバ
洛陽の親友如し相問はば
※「如シ ~バ」=仮定、「もし ~ならば」
洛陽の友人たちが、もし(君に私の事を)尋ねたならば、
一片ノ氷心在二リト玉壺一ニ
一片の氷心玉壺に在りと
一片の氷が美しい玉の壺の中に在るような清らかで澄んだ心境だ、と伝えてほしい。
韻=呉・孤・壺
※七言詩は原則として第一句末と偶数句末で韻を踏む。