青=現代語訳・下小文字=返り点・上小文字=送り仮名・解説=赤字
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漁父の利=二者が争っている隙に、第三者が現れて、まんまと利益を得ること
「今-者臣ノ来タルトキ、過二グ易水一ヲ。蚌方ニ出デテ曝ス。
「今者臣来たるとき、易水を過ぐ。蚌方に出でて曝す。
易水=川の名称。蚌=ドブ貝。
※方(まさ)に=ちょうど、今や
「今日、私が来たときに、易水を通りました。ドブ貝がちょうど日向ぼっこをしていました。
而シテ鷸啄二ム其ノ肉一ヲ。蚌合シテ而箝二ム其ノ喙一ヲ。
而して鷸其の肉を啄ばむ。蚌合して其の喙を箝む。
鷸(いつ)=河口・干潟付近に生息する「シギ」という鳥。
※而(しか)して=(順接の接続詞)そして。而=置き字(順接)
そしてシギがドブ貝の身をくちばしでつつきました。ドブ貝は貝殻を閉じてそのシギのくちばしをはさみました。
鷸曰ハク、『今日不レ雨フラ、明日不レンバ雨フラ、即チ有二ラント死蚌一。』
鷸曰はく、『今日雨ふらず、明日雨ふらずんば、即ち死蚌有らん』と。
※即(すなは)ち=(仮定形)~ならば
シギが言うことには、『今日雨が降らず、明日も雨が降らなければ、死んだドブ貝になってしまうぞ。』と。
蚌モ亦謂レヒテ鷸ニ曰ハク、『今日不レ出デ、明日不レンバ出デ、即チ有二ラント死鷸一。』
蚌も亦鷸に謂ひて曰はく、『今日出でず、明日出でずんば、即ち死鷸有らん』と。
謂=相手に向かって言う、批判して言う。曰=言う、引用して「~いわく」
ドブ貝もまたシギに向かって言うことには、『今日くちばしが抜けず、明日も抜けなければ、死んだシギになってしまうぞ』と。
両者不レ肯ニンゼ相舎一ツルヲ。漁者得テ而并-二セ擒フ之一ヲ。
両者、相舎つるを肯んぜず。漁者得て之を并せ擒ふ。
両者、互いに相手を放すことを承知しませんでした。(すると、そこへやって来た)漁師が両方ともを捕らえてしまいました。
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