「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳」
作者:藤原定家(ふじわらのさだいえ)
見渡せば 花も紅葉も なかりけり 浦の苫屋の 秋の夕暮れ
ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして②の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。
なかり=ク活用の形容詞「無し」の連用形
けり=詠嘆の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形。「けり」は過去の意味で使われることがほとんどだが、①和歌での「けり」②会話文での「けり」③なりけりの「けり」では詠嘆に警戒する必要がある。①はほぼ必ず詠嘆だが、②③は文脈判断
浦の苫屋=海辺の粗末な漁師小屋
見渡すと、花も紅葉も(美しいものは何も)ないのだなあ。海辺の粗末な漁師小屋でのこの秋の夕暮れは。