「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳」
作者:額田王(ぬかたのおおきみ)[女]
あかねさす 柴野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る
標野(しめの)=名詞、皇室のご料地、皇室や身分の高い人の所有地
ず=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形
や=疑問の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。
振る=ラ行四段動詞「振る」の連体形。係助詞「や」を受けて連体形となっている。係り結び。
※枕詞…特定の語の上にかかって修飾したり、口調を整えるのに用いることば。5文字以下で、それ自体に意味がほとんどないなどという点で序詞とは大きく異なる。
あかねさす=枕詞、「紫」の他に「日」「昼」などに掛かる。
柴草の生えたご料地の野をあちこち行ったりして、あなたが袖をお振りになるのを野守が見つけてしまわないでしょうか。
※額田王は当時天智天皇の妻であったが、元夫(=大海人皇子=天武天皇)の人目を気にしない求愛行動を受けて、このような和歌を詠んだ。