「青=現代語訳」
妻=名詞
涙=名詞
を=格助詞
とどめ=マ行下二段動詞「とどむ」の連用形
て=接続助詞
ひとたび=名詞
別れ=ラ行下二段動詞「別る」の連用形
参らせ=サ行下二段動詞「参らす」の連用形、謙譲語。
て=接続助詞
後=名詞
たのむ=マ行四段動詞「頼む(たのむ)」の連体形。頼みに思う、あてにする。
※四段活用と下二段活用の両方になる動詞があり、下二段になると「使役」の意味が加わり、「頼みに思わせる、あてにさせる」といった意味になる。
の=格助詞
秋=名詞
より=格助詞
さき=名詞
に=格助詞
恐ろしき=シク活用の形容詞「恐ろし」の連体形
世の中=名詞
と=格助詞
なり=ラ行四段動詞「成る」の連用形
て=接続助詞
妻涙をとどめて、「ひとたび別れ参らせて後、たのむの秋よりさきに恐ろしき世の中となりて、
妻は涙をとどめて、「ひとたびお別れしてからその後、(あなたと再会することを)頼みに思っていた秋が来る前に恐ろしい世の中となって、
里人=名詞
は=係助詞
みな=名詞
家=名詞
を=格助詞
捨て=タ行下二段動詞「捨つ」の連用形
て=接続助詞
海=名詞
に=格助詞
漂ひ=ハ行四段動詞「漂ふ(ただよふ)」の連用形
山=名詞
に=格助詞
隠れ=ラ行四段動詞「隠る」の已然形
ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。
たまたまに=副詞
残り=ラ行四段動詞「残る」の連用形
たる=完了の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形
人=名詞
は=係助詞
多く=副詞
虎狼(ころう)=名詞
の=格助詞
心=名詞
あり=ラ変動詞「あり」の連用形
て=接続助詞
里人は皆家を捨てて、海に漂ひ山に隱れば、たまたまに残りたる人は、多く虎狼の心ありて、
里人はみな家を捨てて、海に漂ったり山に隠れたので、たまたま残った人は、多くは虎狼の心があって、
斯く(かく)=副詞、こう、このように。
寡(やもめ)=名詞
と=格助詞
なり=ラ行四段動詞「成る」の連用形
し=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形
を=格助詞
たより(便り・頼り)=名詞、良い機会、事のついで。手紙、消息。頼り所、縁故。便宜、手段。
よし=ク活用の形容詞「良し」の終止形。対義語は「悪し(あし)」。「よし>よろし≧普通≧わろし>あし」みたいなイメージ。
と=格助詞
や=疑問の係助詞
言葉=名詞
を=格助詞
巧み=マ行四段動詞「巧む(たくむ)」の連用形
て=接続助詞
いざなへ=ハ行四段動詞「いざなふ」の已然形
ども=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。
かく寡となりしをたよりよしとや、言葉を巧みていざなへども、
(私が)このように寡婦(=未亡人)となったのを都合がよいと思ったのか、言葉巧みに誘惑してきたけれども、
玉(たま)=名詞
と=格助詞
砕け=カ行下二段動詞「砕く」の連用形
て=接続助詞
も=係助詞
瓦(かわら)=名詞
の=格助詞
全き=ク活用の形容詞「全し(またし)」の連体形
に=格助詞
は=係助詞
ならは=ハ行四段動詞「ならふ」未然形
じ=打消推量の助動詞「じ」の連体形、接続は未然形
ものを=終助詞、詠嘆。
と=格助詞
いくたび=名詞
か=疑問の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。
辛き=ク活用の形容詞「辛し」の連体形
目=名詞
を=格助詞
忍び=バ行四段動詞「忍ぶ」の連用形、我慢する、こらえる。人目を忍ぶ、目立たない姿になる。
ぬる=完了の助動詞「ぬ」の連体形、接続は連用形。係助詞「か」を受けて連体形となっている。係り結び。
玉と砕けても瓦の全きにはならはじものをと、いくたびか辛き目を忍びぬる。
玉として砕けても、瓦のようになって生き延びることはするまいよと、何度も辛い目を耐え忍びました。
※「玉と砕けても」=貞操を守って死ぬこと。 瓦は玉の対義語で、価値のないものの例えである。
銀河=名詞
秋=名詞
を=格助詞
告ぐれ=ガ行下二段動詞「告ぐ」の已然形
ども=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。
君=名詞
は=係助詞
帰り=ラ行四段動詞「帰る」の連用形
給は=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の未然形、尊敬語。
ず=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形
銀河秋を告ぐれども君は帰り給はず。
天の川が秋を告げても、あなたお帰りになりません。
冬=名詞
を=格助詞
待ち=タ行四段動詞「待つ」の連用形
春=名詞
を=格助詞
迎へ=ハ行下二段動詞「迎ふ」の連用形
て=接続助詞
も=係助詞
消息(しょうそこ)=名詞、便り、連絡、手紙。案内を乞うこと、声をかけること。
なし=ク活用の形容詞「無し」の終止形
冬を待ち、春を迎へても消息なし。
冬を待ち、春を迎えても便りはない。
今=名詞
は=係助詞
京=名詞
に=格助詞
上り=ラ行四段動詞「上る」の連用形
て=接続助詞
尋ね=ナ行下二段動詞「尋ぬ(たづぬ)」の連用形
参らせ=サ行下二段動詞「参らす」の未然形、謙譲語。
ん=意志の助動詞「む」の終止形が音便化したもの、接続は未然形。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。
と=格助詞
思ひ=ハ行四段動詞「思ふ」の連用形
しか=過去の助動詞「き」の已然形、接続は連用形
ど=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。
丈夫(ますらお)=名詞
さへ=副助詞、添加(~までも)。類推(~さえ)。
許さ=サ行四段動詞「許す」の未然形
ざる=打消の助動詞「ず」の連体形、接続は未然形
関=名詞
の=格助詞
鎖(とざし)=名詞
を=格助詞
今は京に上りて尋ね参らせんと思ひしかど、丈夫さへ許さざる関の鎖を、
今は京に上ってお探ししようと思いましたが、男でさえ通ることを許されない関所の守りを、
いかで=副詞、どうして、どのようにして、どういうわけで。どうであろうとも、なんとかして。どうにかして。
女=名詞
の=格助詞
越ゆ=ヤ行下二段動詞「越ゆ」の終止形
べき=可能の助動詞「べし」の連体形、接続は終止形。㋜推量㋑意志㋕可能㋣当然㋱命令㋢適当のおよそ六つの意味がある。
道=名詞
も=係助詞
あら=ラ変動詞「あり」の未然形
じ=打消推量の助動詞「じ」の終止形、接続は未然形
と=格助詞
いかで女の越ゆべき道もあらじと、
どうして女の身で(ある私が)超えられる道があるだろうか(、いや、ないだろう)と、
軒端(のきば)=名詞
の=格助詞
松=名詞
に=格助詞
かひなき=ク活用の形容詞「甲斐なし(かひなし)」の連体形、どうしようもない、効果がない、むだだ。
宿=名詞
に=格助詞
きつね=名詞
ふくろふ=名詞
を=格助詞
友=名詞
と=格助詞
し=サ変動詞「す」の連用形、する。
て=接続助詞
今日=名詞
まで=副助詞
は=係助詞
過ごし=サ行四段動詞「過ごす」の連用形
ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形
軒端の松にかひなき宿に、きつね・ふくろふを友として今日までは過ごしぬ。
軒端の松のように待ってもどうしようもない宿に、きつね・ふくろうを友として今日まで過ごしてきました。
今=名詞
は=係助詞
長き=ク活用の形容詞「長し」の連体形
恨み=名詞
も=係助詞
晴れ晴れと=副詞
なり=ラ行四段動詞「成る」の連用形
ぬる=完了の助動詞「ぬ」の連体形、接続は連用形
こと=名詞
の=格助詞
うれしく=シク活用の形容詞「嬉し」の連用形
侍り=補助動詞ラ変「侍り(はべり)」の終止形、丁寧語。
※「候ふ(さぶらふ)・侍り(はべり)」は補助動詞だと丁寧語「~です、~ます」の意味であるが、本動詞だと、丁寧語「あります、ございます、おります」と謙譲語「お仕え申し上げる、お控え申し上げる」の二つ意味がある。
今は長き恨みも晴れ晴れとなりぬることのうれしく侍り。
(あなたに会えた)今は長い恨みも晴れ晴れとしたことがうれしくございます。
逢ふ=ハ行四段動詞「逢ふ(あふ)」の連体形
を=格助詞
待つ=タ行四段動詞「待つ」の連体形
間=名詞
に=格助詞
恋ひ死な=ナ変動詞「恋ひ死ぬ」の未然形
ん=仮定の助動詞「む」の終止形が音便化したもの、接続は未然形。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文中に来ると「㋕仮定・㋓婉曲」のどちらかである。訳:「(もしも)恋いしんでしまったら、」
は=係助詞
人=名詞
知ら=ラ行四段動詞「知る」の未然形
ぬ=打消の助動詞「ず」の連体形、接続は未然形
恨み=名詞
なる=断定の助動詞「なり」の連体形、接続は体言・連体形
べし=推量の助動詞「べし」の終止形、接続は終止形。㋜推量㋑意志㋕可能㋣当然㋱命令㋢適当のおよそ六つの意味がある。
と=格助詞
また=副詞
よよと=副詞
泣く=カ行四段動詞「泣く」の連体形
を=格助詞
逢ふを待つ間に恋ひ死なんは、人知らぬ恨みなるべし。」と、またよよと泣くを、
(昔の和歌にあるように)会うのを待つ間に恋焦がれ死んだとしたら、相手に知られず恨みになるでしょう。」と言って、また(妻が)声を上げて泣くのを、
夜=名詞
こそ=強調の係助詞。結びは已然形となるが、係り結びの消滅が起こっている。本来の結びは「短き」の部分であるが、接続助詞「に」が来ているため、結びの部分が消滅してしまっている。これを「係り結びの消滅(流れ)」と言う。
短き=ク活用の形容詞「短し」の連体形
に=格助詞
と=格助詞
言ひなぐさめ=マ行下二段動詞「言ひ慰む」の連用形
て=接続助詞
ともに=副詞
臥し=サ行四段動詞「臥す(ふす)」の連用形
ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形
「夜こそ短きに。」と言ひなぐさめて、ともに臥しぬ。
「夜は短いのだから。」と言い慰めて、一緒に寝たのだった。
窓=名詞
の=格助詞
紙=名詞
松風=名詞
を=格助詞
啜り=ラ行四段動詞「啜る(すする)」の連用形
て=接続助詞
夜(よ)もすがら=副詞、一晩中。対義語「日もすがら」。名詞ではあるが「夜一夜(よひとよ)」=「一晩中」というのもある。「夜一夜」⇔「日一日(ひひとひ)」
涼しき=シク活用の形容詞「涼し」の連体形
に=接続助詞
道=名詞
の=格助詞
長手=名詞
に=格助詞
疲れ=ラ行下二段動詞「疲る」の連用形
うまく=ク活用の形容詞「うまし」の連用形
寝ね=ナ行下二段動詞「寝ぬ(いぬ)」の連用形
たり=完了の助動詞「たり」の終止形、接続は連用形
窓の紙、松風を啜りて夜もすがら凉しきに、道の長手に疲れうまく寝ねたり。
破れた窓の障子紙が、松風を通してすすり泣くように鳴って一晩中涼しい上に、長旅の疲れでぐっすりと寝た。
五更=名詞
の=格助詞
空=名詞
明け=カ行下二段動詞「明く」の連用形
ゆく=カ行四段動詞「ゆく」の連体形
ころ=名詞
現なき=ク活用の形容詞「現なし(うつつなし)」の連体形
現(うつつ)=名詞、現実、現世。生きている状態、目が覚めている状態。
現なき心=夢見心地
心=名詞
に=格助詞
も=係助詞
すずろに=ナリ活用の形容動詞「すずろなり」の連用形、なんとなく、わけもなく。むやみやたらである。意に反して、意に関係なく。何の関係もないさま。
寒かり=ク活用の形容詞「寒し」の連用形
けれ=過去の助動詞「けり」の已然形、接続は連用形
ば=接続助詞、直前が已然形であり、①原因・理由「~なので、~から」の意味で使われている。
五更の空明けゆくころ、現なき心にもすずろに寒かりければ、
五更の空が明けゆく頃、夢見心地にもなんとなく寒かったので、
衾(ふすま)=名詞
かづか=カ行四段動詞「被く(かづく)」の未然形、かぶる。もらう、(褒美などを)いただく。
※四段活用と下二段活用の両方になる動詞があり、下二段になると「使役」の意味が加わり、「かぶせる。与える。」といった意味になる。
ん=意志の助動詞「む」の終止形が音便化したもの、接続は未然形。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。
と=格助詞
探る=ラ行四段動詞「探る」の連体形
手=名詞
に=格助詞
何物=名詞
に=断定の助動詞「なり」の連用形、接続は体言・連体形
や=疑問の係助詞、結びは連体形となるはずだが、ここでは省略されている。「あらむ」などが省略されていると考えられる。「訳:~であるのだろうか」
※今回のように係助詞の前に「に(断定の助動詞)」がついている時は「あり(ラ変動詞)」などが省略されている。場合によって敬語になったり、助動詞がついたりする。
「にや・にか」だと、「ある・侍る(「あり」の丁寧語)・あらむ・ありけむ」など
「にこそ」だと、「あれ・侍れ・あらめ・ありけめ」など
さやさやと=副詞
音する=サ変動詞音「す」の連体形。 「名詞+す(サ変動詞)」で一つのサ変動詞になるものがいくらかある。例:「信ず」、「愛す」、「ご覧ず」
に=格助詞
目=名詞
覚め=マ行下二段動詞「覚む」の連用形
ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形
衾かづかんと探る手に、何物にやさやさやと音するに目覚めぬ。
布団をかぶろうと探す手に、何物であろうか、さらさらと音がするので目が覚めた。
顔=名詞
に=格助詞
ひやひやと=副詞
物=名詞
の=格助詞
こぼるる=ラ行下二段動詞「こぼる」の連体形
を=格助詞
雨=名詞
や=疑問の係助詞
漏り=ラ行四段動詞「漏る」の連用形
ぬる=完了の助動詞「ぬ」の連体形、接続は連用形
か=疑問の係助詞
と=格助詞
見れ=マ行上一段動詞「見る」の已然形
ば=接続助詞、直前が已然形であり、②偶然条件「~ところ・~と」の意味で使われている。
顔にひやひやと物のこぼるるを、雨や漏りぬるかと見れば、
顔にひんやりと物がこぼれてくるのを、雨が(降って)濡れたのかと見ると、
屋根=名詞
は=係助詞
風=名詞
に=格助詞
まくら=ラ行四段動詞「まくる」の未然形
れ=受身の助動詞「る」の連用形、接続は未然形。「る・らる」には「受身・尊敬・自発・可能」の四つの意味があるがここは文脈判断。
て=接続助詞
あれ=ラ変動詞「あり」の已然形
ば=接続助詞、直前が已然形であり、①原因・理由「~なので、~から」の意味で使われている。
有明月(ありあけづき)=名詞
の=格助詞
しらみ=マ行四段動詞「白む(しらむ)」の連用形
て=接続助詞
残り=ラ行四段動詞「残る」の連用形
たる=存続の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形
も=係助詞
見ゆ=ヤ行下二段動詞「見ゆ」の終止形、見える、分かる、思われる。「ゆ」には「受身・自発・可能」の意味が含まれていたり、「見ゆ」には多くの意味がある。
屋根は風にまくられてあれば、有明月のしらみて残りたるも見ゆ。
屋根は風にまくられているので、有明の月が白んで残っているのが見える。
家=名詞
は=係助詞
戸=名詞
も=係助詞
ある=ラ変動詞「あり」の連体形
や=疑問の係助詞
なし=ク活用の形容詞「無し」の終止形
家は戸もあるやなし。
家は戸もあるのかないのか(分からないぐらいの家の荒れようである)。
簀垣(すがき)=名詞、竹や板の間を透かせて作られた床
朽ち=タ行上二段動詞「朽つ(くつ)」の連用形
崩れ=ラ行下二段動詞「崩る(くずる)」の連用形
たる=完了の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形
間(ひま)=名詞
より=格助詞、(起点)~から、(手段・用法)~で、(経過点)~を通って、(即時:直前に連体形がきて)~するやいなや
荻(おぎ)=名詞
薄 (すすき)=名詞
高く=ク活用の形容詞「高し」の連用形
生ひ出で=ダ行下二段動詞「生ひ出づ(おひいづ)」の連用形
て=接続助詞
朝露=名詞
うちこぼるる=ラ行下二段動詞「うちこぼる」の連体形
に=接続助詞
袖(そで)=名詞
ひち=タ行上二段動詞「浸つ(ひつ)」の連用形、濡れる、水につかる。
て=接続助詞
絞る=ラ行四段動詞「絞る(しぼる)」の連体形
ばかり=副助詞、(程度)~ほど・ぐらい。(限定)~だけ。
なり=断定の助動詞「なり」の終止形、接続は体言・連体形
簀垣朽ち崩れたる間より、荻薄高く生ひ出でて、朝露うちこぼるるに、袖ひちて絞るばかりなり。
床が腐ってくずれたすき間から、荻や薄が高く生い出て、朝露がこぼれるので、袖が濡れて絞るほどであった。
壁=名詞
に=格助詞
は=係助詞
蔦(つた)=名詞
葛(くず)=名詞
延ひかかり=ラ行四段動詞「延ひかかる(はひかかる)」の連用形
庭=名詞
は=格助詞
葎(むぐら)=名詞、つる草
に=格助詞
うづもれ=ラ行下二段動詞「うづもる」の連用形
て=接続助詞
秋=名詞
なら=断定の助動詞「なり」の未然形、接続は体言・連体形
ね=打消の助動詞「ず」の已然形
ども=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。
野ら=名詞
なる=断定の助動詞「なり」の連体形、接続は体言・連体形
宿=名詞
なり=断定の助動詞「なり」の終止形、接続は体言・連体形
けり=詠嘆の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形。「けり」は過去の意味で使われることがほとんどだが、①和歌での「けり」②会話文での「けり」③なりけりの「けり」では詠嘆に警戒する必要がある。①はほぼ必ず詠嘆だが、②③は文脈判断。
壁には蔦葛延ひかかり、庭は葎にうづもれて、秋ならねども野らなる宿なりけり。
壁には蔦や葛が生えかかり、庭は葎(=つる草)に埋もれて、秋ではないけれども(秋の)野原のような(ひどく荒れた)宿であった。
続きはこちら雨月物語『浅茅が宿』品詞分解のみ(4)