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徒然草『九月二十日のころ』問題の解答

「青字=解答」「※赤字=注意書き、解説等」

 問題はこちら徒然草『九月二十日のころ』問題

 

九月二十日のころ、ある人に誘はたてまつりて、明くるまで月見ありく事侍りしに、思し出づる所ありて、案内せさせて入り給ひ

 

荒れたる庭の露しげきに、わざとなら匂ひしめやかにうち薫りて、忍びたるけはひ、いとものあはれなり

 

よきほどにて出で給ひぬれど、なほ、事ざまの優に覚えて、物の隠れよりしばし見ゐたるに、妻戸をいま少し押し開けて、月見るけしきなり。

 

やがてかけこもらましかば、口惜しからまし。 あとまで見る人ありとは、いかでか知らんかやうの事は、ただ、朝夕の心づかひによるべし。

 

その人、ほどなく失せにけりと聞きはべり

 

 

問題1.「①九月」の漢字の読みを答えよ。

 

ながつき

 

 

問題2.「⑯失せ」のここでの意味を答えよ。

 

死ぬ・亡くなる

 

 

問題3.②れ、⑥ぬ、⑦ぬ、⑩ぬれ、⑱し、の助動詞の文法的意味として、次の記号から適当なものを一つ選んで答えよ。

ア.使役  イ.尊敬  ウ.受身  エ.過去  オ.詠嘆  カ.完了  キ.強意  ク.打消  ケ.自発  コ.可能

 

ウ.受身

れ=受身の助動詞「る」の連用形、接続は未然形。「る」には「受身・尊敬・自発・可能」の四つの意味があるがここは文脈判断。

カ.完了

ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形

ク.打消

ぬ=打消の助動詞「ず」の連体形、接続は未然形

カ.完了

ぬれ=完了の助動詞「ぬ」の已然形、接続は連用形

エ.過去

し=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

 

 

問題4.⑤入り、⑪見ゐ、⑫見る、⑰聞き、の主語をそれぞれ答えよ。

 

ある人

作者

ある人の知り合いの女

作者

 

 

問題5.③侍り、⑨給ひ、の敬語の種類(尊敬・謙譲・丁寧のどれか)と誰から誰に対する敬意かを答えなさい。

【解答例;㊿参る:謙譲語・ある人→ある人の知り合いの女】(謙譲語であり、ある人からある人の知り合いの女へ敬意が払われているということ)

 

丁寧語・作者→読者

侍り=ラ変動詞「侍り(はべり)」の連用形、「あり・居り」の丁寧語。言葉の受け手である読者を敬っている。作者からの敬意。

※「候ふ・侍(はべ)り」は補助動詞だと丁寧語「~です、~ます」の意味であるが、本動詞だと、丁寧語「あります、ございます、おります」と謙譲語「お仕え申し上げる、お控え申し上げる」の二つ意味がある。

尊敬語・作者→ある人

給ひ=補助動詞ハ行四段「給ふ」の連用形、尊敬語。動作の主体であるあるお方を敬っている。作者からの敬意。

 

 

問題6.「④案内せさせて」、「⑧忍びたるけはひ、いとものあはれなり」、「⑬やがてかけこもらましかば、口惜しからまし」、「⑭いかでか知らん」、

 

取り次ぎをさせて

案内せ=サ変動詞「案内す」の未然形、取り次ぎを請う「名詞+す(サ変動詞)」で一つのサ変動詞になるものがいくらかある。例:「音す」、「愛す」、「心す」、「御覧ず」

案内(あない)=名詞、取り次ぎを頼むこと。物事の事情、よく知っていること、内情。文書の内容、草案。

 

させ=使役の助動詞「さす」の連用形、接続は未然形。「す・さす・しむ」には、「使役と尊敬」の二つの意味があるが、直後に尊敬語が来ていない場合は必ず「使役」の意味である。

 

人目を忍んで暮らしている様子には、たいそうしみじみと趣を感じる

忍び=バ行四段動詞「忍ぶ」の連用形、人目を忍ぶ、目立たない姿になる。我慢する、こらえる。

 

たる=存続の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

 

ものあはれなり=ナリ活用の形容動詞の終止形。なんとなくしみじみと感じる。「もの」は接頭語であり「なんとなく」といった漠然とした様子を表す意味を持つ。

あはれなり=ナリ活用の形容動詞「あはれなり」の終止形。「あはれ」はもともと感動したときに口に出す感動詞であり、心が動かされるという意味を持つ。しみじみと思う、しみじみとした情趣がある

 

もしすぐに家の中に入っていたならば、(風流でなく)残念なことであっただろう

やがて=副詞、すぐに。そのまま。

 

ましか=反実仮想の助動詞「まし」の未然形、接続は未然形。事実とは反する仮定(仮想)を表す。「ましかば~まし。」あるいは「せば~まし。(「せ」は過去の助動詞「き」の未然形)」という形で反実仮想として使われる。「もし~ならば、~だろうに。」

 

ば=接続助詞、直前に未然形がくると④仮定条件の意味であるが、ここは反実仮想。直前が已然形だと①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれか。

 

口惜しから=シク活用の形容詞「口惜し」の未然形、残念だ、がっかりだ、悔しい、

 

(その家の女性は)どうして知っているだろうか。(いや、知っているはずがない。)

いかで=副詞、(反語で)どうして

 

か=反語の係助詞、結びは連体形となる。係り結び

 

ん=推量の助動詞「む」の連体形が音便化したもの、接続は未然形。係助詞「か」を受けて連体形となっている。係り結び。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

 

 

問題7.「⑮かやうの事」とは、どのようなことであるか答えよ。

 

解答例1:客人が帰った後に月を見て余情にひたるという奥ゆかしい態度をとったこと。

解答例2:わざわざ用意したものでもないお香の香り漂わせたり、客人が帰った後に月を見て余情にひたるという奥ゆかしい態度をとったこと。

 

 

問題8.『徒然草』の作者を答えよ。

 

作者:兼好法師・吉田兼好・卜部兼好

 

 

 徒然草『九月二十日のころ』解説・品詞分解

 

徒然草『九月二十日のころ』まとめ  

 

 

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