古文

更級日記『物語(源氏の五十余巻)』(3)品詞分解のみ 「はしるはしるわづかに見つつ、~

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

作者:菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)

更級日記『物語(源氏の五十余巻)』まとめ

 

 

はしるはしる=副詞、胸をわくわくさせて。とびとびに(とぎれとぎれに)。大急ぎで

わづかに=ナリ活用の形容動詞「わづかなり」の連用形、数量が少ないさま、少し。

=マ行上一段動詞「見る」の連用形

つつ=接続助詞、①反復「~しては~」②継続「~し続けて」③並行「~しながら」④(和歌で)詠嘆、ここでは①反復の意味で使われているので訳す際に注意が必要、若干②継続の意味もあるかもしれないが、③の意味で訳してはならない。

=名詞

=係助詞

(え)=ア行下二段動詞「得(う)」の未然形、ア行下二段活用の動詞は「得(う)」・「心得(こころう)」・「所得(ところう)」の3つしかないので、大学受験に向けて覚えておくとよい。

=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

心もとなく=ク活用の形容詞「心もとなし」の連用形、ぼんやりしている、はっきりしない。待ち遠しくて心がいらだつ、じれったい。

思ふ=ハ行四段動詞「思ふ」の連体形

源氏=名詞

=格助詞

 

はしるはしるわづかに見つつ、心も得ず、心もとなく思ふ源氏を、

胸をわくわくさせて少しだけ見ては、(物語の筋を)理解できず、じれったく思っていた源氏物語を、

 

 

一の巻=名詞

より=格助詞、(起点)~から、(手段・用法)~で、(経過点)~を通って、(即時:直前に連体形がきて)~するやいなや

=サ変動詞「す」の連用形、代動詞であり、本来の動詞は「始む」と思われる。代動詞はその場面の文脈に応じて適切な動詞に変換して訳す。例:「いと雨て、」⇒「たいそう雨が降って、」

=接続助詞

=名詞

=係助詞

交じら=ラ行四段動詞「交じる」の未然形

=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

人も交じらず=ただ一人で、誰とも合わなかったということ

几帳=名詞

=格助詞

=名詞

=格助詞

うち臥し=サ行四段「うち臥す(うちふす)」の連用形、ちょっと横になる、寝転ぶ。「うち」は接頭語なので、訳す際にあまり気にしなくてもよい。

=接続助詞

引き出で=ダ行下二段動詞「引き出づ」の連用形

つつ=接続助詞、先程と同様に①反復「~しては~」の意味で使われている

見る=マ行上一段動詞「見る」の連体形

心地=名詞

 

一の巻よりして、人も交じらず、几帳の内にうち臥して、引き出でつつ見る心地、

一の巻から読み始めて、誰とも合わず、几帳の内に寝転んで、引き出しては読む心地は、

 

 

(きさき)=名詞

=格助詞

=名詞

=係助詞

=代名詞

=格助詞

=反語・疑問の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

=強調の係助詞。現代語でもそうだが、疑問文を強調していうと反語となる。「~か!(いや、そうじゃないだろう。)」。なので、「~かは・~やは」とあれば反語の可能性が高い。

=サ変動詞「す」の未然形、する。

=意志の助動詞「む」の連体形、接続は未然形。係助詞「か」を受けて連体形となっている。係り結び。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

 

何にかはせむ=反語であり、直訳すると「何にしようか、いや、何にもならない。」だが、「もの数ではない。問題ではない」などと訳すと自然である。

 

(きさき)の位も何にかはせむ。

后(=皇后・天皇の妻)の位も(源氏物語と比較すると)何になろうか。(いや、何にもならない。)



 

=名詞

=係助詞

ひぐらし(日暮らし)=名詞・副詞、一日を過ごすこと、一日中

=名詞

=係助詞

=名詞

=格助詞

覚め=マ行下二段動詞「覚む」の連用形

たる=存続の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

限り=名詞

=名詞

=格助詞

近く=ク活用の形容詞「近し」の連用形

ともし=サ行四段動詞「点す・灯す(ともす)」の連用形

=接続助詞

これ=代名詞

=格助詞

見る=マ行上一段動詞「見る」の連体形

より=格助詞

ほか=名詞

=格助詞

こと=名詞

なけれ=ク活用の形容詞「無し」の已然形。

=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①原因・理由「~なので、~から」の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

 

昼はひぐらし、夜は目の覚めたる限り、灯を近くともして、これを見るよりほかのことなければ、

昼は一日中、夜は目が覚めている限り、灯火を近くにともして、これを読む以外他のことはしなかったので、

 

 

おのづから=副詞、自然と、ひとりでに

など=副助詞

=係助詞

そらに=ナリ活用の形容動詞「空なり(そらなり)」の連用形、暗記して、空で覚えて

おぼえ浮かぶ=バ行四段動詞「おぼえ浮かぶ」の連体形

=格助詞

いみじき=シク活用の形容詞「いみじ」の連体形、(いい意味でも悪い意味でも)程度がひどい、甚だしい、とても。

こと=名詞

=格助詞

思ふ=ハ行四段動詞「思ふ」の連体形

=接続助詞

 

おのづからなどは、そらにおぼえ浮かぶを、いみじきことに思ふに、

自然と(物語の文章や人物を)覚えていて頭に浮かぶのを、素晴らしいことだと思っていると、

 

 

=名詞

=格助詞

いと=副詞

清げなる=ナリ活用の形容動詞「清げなり」の連体形、さっぱりとして美しい、きちんとしている

=名詞

=格助詞、用法は同格。「たいそうさっぱりとして美しい僧、」

黄なる=ナリ活用の形容動詞「黄なり」の連体形

=名詞

=格助詞

袈裟(けさ)=名詞、今でも寺の坊さんがつけている右肩にかけてつけるもの。

=カ行上一段動詞「着る」の連用形

たる=存続の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形。連体形なのは直後に僧が省略されているため。「袈裟を着ているが来て」

=格助詞

(き)=カ変動詞「来(く)」の連用形

=接続助詞

法華経(ほけきょう)=名詞

五の巻=名詞

=格助詞

とく(疾く)=副詞、早く

習へ=ハ行四段動詞「習ふ」の命令形

=格助詞

言ふ=ハ行四段動詞「言ふ」の終止形

=格助詞

見れ=マ行上一段動詞「見る」の已然形

=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。

 

夢に、いと清げなる僧の、黄なる地の袈裟(けさ)着たるが来て、「()()(きやう)五の巻を、とく習へ。」と言ふと見れど、

夢に、たいそうさっぱりとして美しい僧で、黄色の地の袈裟(けさ)を着ている僧が出てきて、(その僧が)「法華経の五の巻を、早く習いなさい。」と言うと(いう夢を)見たが、

 

 

=名詞

=格助詞

=係助詞

語ら=ラ行四段動詞「語る」の未然形

=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

習は=ハ行四段動詞「習ふ」の未然形

=意志の助動詞「む」の終止形、接続は未然形。「習はむ。」と本来はなるので、この「む」は文末扱い。文末に来るときは㋜推量・㋑意志・㋕勧誘の3つのどれかの意味である

=格助詞

=係助詞

思ひかけ=カ行下二段動詞「思ひ懸く(おもひかく)」の未然形、心にかける、予測する

=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

物語=名詞

=格助詞

こと=名詞

=格助詞

のみ=副助詞

=名詞

=格助詞

しめ=マ行下二段動詞「染む(しむ)」の連用形、そめる、心に染まるほど深く思いこむ

=接続助詞

 

人にも語らず、習はむとも思ひかけず、物語のことをのみ心にしめて、

(その夢のことを)人にも話さず、(法華経を)習おうとも心がけず、物語のことだけを深く心に思いこんで、

 

 

われ=代名詞

=係助詞

このごろ=名詞

わろき=ク活用の形容詞「悪し(わろし)」の連体形。良くない、好ましくない。「よし>よろし≧普通≧わろし>あし」みたいなイメージ。

=強調の係助詞

かし=念押しの終助詞、「~よ・~ね」

盛り=名詞

=格助詞

なら=ラ行四段動詞「成る(なる)」の未然形

=接続助詞、直前が未然形なので④仮定条件「もし~ならば」という意味になる。

 

「われはこのごろわろきぞかし。盛りにならば、

「私は今のところ器量はよくないことだよ。(でも、)女としての盛りの年頃になったら、



 

かたち(容貌)=名詞、姿、容貌、外形、顔つき

=係助詞

限りなく=ク活用の形容詞「限りなし」の連用形

よく=ク活用の形容詞「良し」の連用形

=名詞

=係助詞

いみじく=シク活用の形容詞「いみじ」の連用形、(いい意味でも悪い意味でも)程度がひどい、甚だしい、とても

長く=ク活用の形容詞「長し」の連用形

なり=ラ行四段動詞「成る」の連用形

=強意の助動詞「ぬ」の未然形、接続は連用形。「つ・ぬ」は「完了・強意」の二つの意味があるが、直後に推量系統の助動詞「む・べし・らむ・まし」などが来るときには「強意」の意味となる

=推量の助動詞「む」の終止形、接続は未然形。推量系統の助動詞があるため直前の「な」は「強意」である。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

 

かたちも限りなくよく、髪もいみじく長くなりなむ。

顔立ちもこの上なく良くなって、きっと髪もたいそう長くなるだろう。

 

 

光の源氏=名詞

=格助詞

夕顔=名詞

宇治の大将=名詞

=格助詞

浮舟=名詞

=格助詞

女君=名詞

=格助詞

やう(様)=名詞

=断定の助動詞「なり」の連用形、接続は体言・連体形

こそ=強調の係助詞、結びは已然形となる。係り結び。

あら=ラ変動詞「あり」の未然形

=推量の助動詞「む」の已然形、接続は未然形。係助詞「こそ」を受けて已然形となっている。係り結び。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

 

光の源氏の夕顔、宇治の大将の浮舟の女君のやうにこそあらめ。」

光源氏の(愛した)夕顔、宇治の大将の(愛した)浮舟の女君のようになるだろう。」

 

 

=格助詞

思ひ=ハ行四段動詞「思ふ」の連用形

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形

=名詞

まづ=副詞、実に、なんといっても

いと=副詞

はかなく=ク活用の形容詞「はかなし」の連用形、はかない、頼りない、あてにならない

あさまし=シク活用の形容詞「あさまし」の終止形、驚きあきれることだ、びっくりすることだ、浅はかだ

 

と思ひける心、まづいとはかなくあさまし。

と思った(当時の自分の)心は、実にたいそうあてにならなくあきれることだ。

 

 

 

更級日記『物語(源氏の五十余巻)』まとめ

 

 

 

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