(若紫との出会い)
「黒=原文」・「青=現代語訳」
解説・品詞分解はこちら源氏物語『若紫/北山の垣間見』解説・品詞分解(3)
尼君、「いで、あな幼や。言ふかひなうものし給ふかな。
尼君、「なんとまあ幼いことよ。聞き分けもなくていらっしゃるなぁ。
おのがかく今日明日におぼゆる命をば、何とも思したらで、すずめ慕ひ給ふほどよ。
私がこのように今日明日(にでも終わりかもしれない)と思われる命を、なんともお思いにならないで、雀に夢中になっていらっしゃることよ。
罪得ることぞと、常に聞こゆるを、心憂く。」とて、「こちや。」と言へば、ついゐたり。
罪つくりなことだと、いつも申し上げているのに、情けないわ。」と言って、「こちらへ」と言うと、(若紫は)膝をついて座った。
つらつきいとらうたげにて、眉のわたりうちけぶり、いはけなくかいやりたる額つき、髪ざし、いみじううつくし。
顔つきは大変かわいらしい様子で、眉のあたりがほんのり美しく見え、あどけなく(髪を)かきあげた額の様子、髪の様子はたいそうかわいらしい。
ねびゆかむさまゆかしき人かなと、目とまり給ふ。
成長していく様子を見たい人だなあと、(光源氏は)目がとまりなさる。
さるは、限りなう心を尽くし聞こゆる人に、いとよう似奉れるが、
そうであるのは、(光源氏が)限りなく心からお慕い申し上げている方(藤壺の女御)に(若紫が)よく似通い申し上げているので、
まもらるるなりけりと思ふにも、涙ぞ落つる。
自然と見つめてしまうだなぁと思うにつけても、涙が落ちる。
※光源氏は幼いころに亡くした母(桐壷の更衣)によく似た藤壺の更衣に対して恋心をずっと持っていた。
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かなわない恋であったため、満たされない思いからあちこちの女性に手を出した。
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夕顔の死をきっかけに病気を患う。
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病気を治すために来た寺で藤壺によく似た若紫に出合った。
続きはこちら源氏物語『若紫/北山の垣間見』現代語訳(4)