「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳」
作者不詳:詠み人知らず
世の中は 何か常なる あすか川 昨日の淵ぞ 今日は瀬になる
か=反語の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。
常なる=ナリ活用の形容動詞「常なり」の連体形。係助詞「か」を受けて連体形となっている。係り結び。
ぞ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。
なる=ラ行四段動詞「成る」の連体形。係助詞「ぞ」を受けて連体形となっている。係り結び。
世の中に何か不変なものがあるか。(いや、ない。)(明日という名を持つ)飛鳥川でさえ昨日淵であったところが今日は浅瀬になる(のだから)。
※掛詞=同音異義を利用して、一つの語に二つ以上の意味を持たせたもの。
掛詞を探すときのポイント(いずれも例外有り)
①ひらがなの部分
②和歌に至るまでの経緯で出て来た単語
③地名などの固有名詞
この和歌では①と③のパターンとが同時に来ている。
「あすか川」が掛詞となっており、飛鳥川の「あす」と「明日(あす)」が掛けられている。
※縁語…ある言葉と意味上の縁のある言葉。ある言葉から連想できる言葉が縁語。
例:「舟」の縁語は「漕ぐ」「沖」「海」「釣」など
この和歌では「明日」の縁語として「昨日・今日」が用いられている。