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竹取物語『なよ竹のかぐや姫/かぐや姫の生い立ち』解説・品詞分解(2)

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

原文・現代語訳のみはこちら 竹取物語『なよ竹のかぐや姫/かぐや姫の生い立ち』現代語訳(1)(2)

 

ひとつ前はこちら竹取物語『なよ竹のかぐや姫/かぐや姫の生い立ち』解説・品詞分解(1)

 

 

この(ちご)養ふほどに、すくすくと大きになりまさる

 

なりまさる=ますます~となっていく。

まさる=ラ行四段動詞「増さる」の連体形、増える、強まる

 

この子は、育てるにつれて、すくすくと大きく成長していく。

 

 

三月ばかりになるほどに、よきほどなる人になりぬれ 、髪上げなどさうして、髪上げさせ()す。

 

なる=断定の助動詞「なり」の連体形、接続は体言・連体形

 

ぬれ=完了の助動詞「ぬ」の已然形、接続は連用形

 

ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

 

さうし=サ変動詞「相す」の連用形、あれこれ手配する

 

させ=使役の助動詞「さす」の連用形、接続は未然形。「す・さす・しむ」には、「使役と尊敬」の二つの意味があるが、直後に尊敬語が来ていない場合は必ず「使役」の意味である。

 

三か月ほど経つうちに、人並みの背丈である人になってしまったので、髪上げなどの儀式をあれこれと手配して、髪を結い上げさせ、裳を着せる。

※成人式をしたということ

 

 

帳の内よりも出ださいつき養ふ。

 

ず=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

 

いつき=カ行四段動詞「傅く(いつく)」の連用形、髪に仕えるように大切に育てる

 

几帳の中からも出さず、大切に育てる。

 

 

この児のかたち けうらなること世になく、屋の内は暗き所なく光満ちたり

 

かたち=名詞、姿、外形、顔つき

 

けうらなる=ナリ活用の形容動詞「清らなり」の連体形、美しい

 

世になく=ク活用の形容詞「世になし」の連用形、この世にいない。この上ない、またとない。身分が低い。

 

たり=存続の助動詞「たり」の終止形、接続は連用形

 

この子の容貌の清らかで美しいことはこの世に比べるものもないほどで、家の中は暗い所もないぐらい光が満ちている。



 

翁、心地あしく苦しき時も、この子を見れ、苦しき事も止み。腹立たしきことも慰みけり

 

あしく=シク活用の形容詞「悪し」の連用形。悪い。「よし>よろし≧普通≧わろし>あし」みたいなイメージ。

 

ば=接続助詞、直前が已然形であり、②偶然条件「~ところ・~と」の意味で使われている。

 

ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形

 

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

 

翁は、気分が悪く苦しい時も、この子を見ると、苦しい気持ちもおさまってしまう。腹立たしい気持ちも慰むのだった。

 

 

翁、竹取ること久しくなり。勢い猛の者になり けり

 

ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形

 

に=完了の助動詞「ぬ」の連用形、接続は連用形

 

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

 

翁は、竹を取ることが長く続いた。勢力の盛んな者になった。

 

 

この子いと大きになりぬれ 、名を三室(みむろ)()斎部(いむべ)秋田(あきた)を呼びてつけさす

 

ぬれ=完了の助動詞「ぬ」の已然形、接続は連用形

 

ば=接続助詞、直前が已然形であり、①原因・理由「~なので、~から」の意味で使われている。

 

さす=使役の助動詞「さす」の終止形、接続は未然形。「す・さす・しむ」には、「使役と尊敬」の二つの意味があるが、直後に尊敬語が来ていない場合は必ず「使役」の意味である。

 

この子がたいそう大きくなったので、名前を三室戸斎部の秋田を呼んで名付けさせる。

 

 

秋田、なよ竹のかぐや姫とつけ

 

つ=完了の助動詞「つ」の終止形、接続は連用形

 

秋田は、なよ竹のかぐや姫と名づけた。

 

 

このほど三日うちあげ遊ぶ。よろづの遊びを  ける

 

うちあげ=ガ行下二段動詞「うちあぐ」の連用形、宴会を開く

 

ぞ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

 

し=サ変動詞「す」の連用形、する

 

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。係助詞「ぞ」を受けて連体形となっている。係り結び。係り結びとなる係助詞は「ぞ・なむ・や・か・こそ」とあるが、「ぞ・なむ・や・か」の結びは連体形となり、「こそ」の結びは已然形となる。「ぞ・なむ・こそ」は強調の意味である時がほとんどで、訳す際には無視して訳す感じになる。「よろづの遊びをぞしける。」→「よろづの遊びをしけり。」

 

この時三日間、宴会を開いて管弦の遊びをした。あらゆる管弦の遊びをした。



男はうけきらは呼び集つどへて、いとかしこく遊ぶ。

 

ず=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

 

かしこく=ク活用の形容詞「畏し/賢し(かしこし)」の連用形。連用形だと「たいそう、非常に」の意味。その他の意味として、恐れ多い、尊い。もったいない、かたじけない。賢い、優れている。

 

男はだれかれかまわず呼び集めて、たいそう盛大に管弦の遊びをする。

 

 

世界の男、あてなるもいやしきも、いかでこのかぐや姫を得てしかな、見てしかなと、音に聞き めでて惑ふ。

 

あてなる=ナリ活用の形容動詞「貴なり(あてなり)」の連体形、身分が高い、高貴である。上品だ、優雅だ。

 

いかで=副詞、願望を表す、なんとかして、どうにかして

 

てしかな=願望の終助詞、~たいなあ

 

音に聞く=うわさに聞く。有名である。

 

めで=ダ行下二段動詞「めづ」の連用形、愛する、心惹かれる。褒める、賞賛する

 

世の中の男は、身分が高い者も低い者も、どうにかしてこのかぐや姫を妻にしたいものだ、見たいものだと、うわさに聞き、心惹かれて思いが乱れる。

 

 

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竹取物語『なよ竹のかぐや姫/かぐや姫の生い立ち』まとめ

 

 

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