古文

徒然草『つれづれなるままに』解説・品詞分解

原文・現代語訳のみはこちら徒然草『つれづれなるままに』現代語訳

成立:鎌倉時代後期

ジャンル:随筆(ずいひつ)

作者:兼好(けんこう)法師(ほうし)吉田(よしだ)兼好(けんこう)卜部(うらべ)兼好(けんこう)

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

 

 

つれづれなる ままに日暮らし(すずり)に向かひて、

 

つれづれなる=形容動詞ナリ活用「つれづれなり」の連体形、することがなく退屈な様子、手持ちぶさたな様子。どうしようもなく一人物思いに沈むさま

 

ままに=~にまかせて、思うままに、(原因・理由)…なので、…するとすぐに。「まま(名詞/に(格助詞))

 

日暮らし(ひぐらし)=名詞・副詞、一日を過ごすこと、一日中

 

手持ちぶさたで、退屈であるのにまかせて、一日中、硯に向かって、

 

 

心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれ

 

よしなしごと=名詞、とりとめもないこと、たわいのないこと、つまらないこと

よしなし(由無し)=ク活用の形容詞、理由がない、方法がない。関係がない、縁がない。良くない、つまらない。

 

そこはかとなく=ク活用の形容詞「そこはかとなし」の連用形、そこはかとない、これといった目的・方針もない、とりとめもない。どこかはっきりとしない

 

ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして②の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

 

心に浮かんでは消えてゆくたわいのないことを、とりとめもなく書きつけていくと、

 

 

あやしう こそ ものぐるほしけれ

 

あやしう=シク活用の形容詞「あやし」の連用形が音便化(ウ音便)したもの、不思議である、変だ。身分が低い。粗末だ、見苦しい。

 

こそ=強調の係助詞、結び(文末)は已然形となる。係り結び。係り結びとなる係助詞は「ぞ・なむ・や・か・こそ」とあるが、「ぞ・なむ・や・か」の結びは連体形となり、「こそ」の結びは已然形となる。「ぞ・なむ・こそ」は強調の意味である時がほとんどで、訳す際には無視して訳す感じになる。「あやしうこそものぐるほしけれ。」→「あやしうものぐるほし。」

 

ものぐるほしけれ=シク活用の形容詞「ものぐるほし」の已然形、なんとなく気が変になりそうだ、狂おしい気持ちだ、狂気じみている。

 

変に狂おしい気持ちになる。

 

 

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