古文

古今和歌集「思ひつつ寝ればや人の~」解説・品詞分解・現代語訳

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

作者:小野小町(おののこまち)

 

思ひつつ  寝ればや人の  見えつらむ  夢と知りせば  さめざらましを

 

 

つつ=接続助詞、①反復「~しては~」②継続「~し続けて」③並行「~しながら」④(和歌で)詠嘆、ここでは③並行、あるいは②継続の意味。

 

寝れ=ナ行下二段動詞「寝(ぬ)」の已然形。

 

ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

 

や=疑問の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

 

つ=強意の助動詞「つ」の終止形、接続は連用形。「つ・ぬ」は「完了・強意」の二つの意味があるが、直後に推量系統の助動詞「む・べし・らむ・まし」などが来るときには「強意」の意味となる。

 

らむ=現在推量の助動詞「らむ」の連体形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。係助詞「や」を受けて連体形となっている。係り結び。

 

せ=過去の助動詞「き」の未然形、接続は連用形。過去の助動詞「き」の未然形「せ」は反実仮想の構文のときしか使われない。

「AせばBまし。」=「もしAだったならば、Bだっただろうに。」 

「まし」は反実仮想の助動詞であり、「AましかばBまし。」とするが、「ましか」の部分を「せ」に変えて用いる場合もあるということである。

 

ば=接続助詞、直前が未然形であり、④仮定条件「もし~ならば」の意味で使われている。

 

ざら=打消の助動詞「ず」の未然形、接続は未然形

 

まし=反実仮想の助動詞「まし」の連体形形、接続は未然形。

 

を=間投助詞、用法は詠嘆

 

思いながら寝たからあの人が現れたのだろうか。夢と分かっていたならば、(夢から)目覚めなかっただろうに。

 

 

 

『古今和歌集』まとめ

 

 

 

-古文

© 2024 フロンティア古典教室 Powered by AFFINGER5