フロンティア古典教室

源氏物語『女三の宮の降嫁』解説・品詞分解(3)

      2017/11/10

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

 原文・現代語訳のみはこちら源氏物語『女三の宮の降嫁』現代語訳(3)(4)

 

かの紫のゆかり尋ね取り給へ    思し出づるに、

 

彼の(かの)=あの、例の。「か(名詞)/の(格助詞)」と品詞分解する

 

給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。動作の主体である光源氏を敬っている。作者からの敬意。

※尊敬語は動作の主体を敬う

※謙譲語は動作の対象を敬う

※丁寧語は言葉の受け手(聞き手・詠み手)を敬う。

どの敬語も、その敬語を実質的に使った人間からの敬意である。

 

り=完了の助動詞「り」の連用形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

 

し=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

 

折(おり)=名詞、時、場合、機会、季節。

 

思し出づる=ダ行下二段動詞「思し出づ(おぼしいづ)」の連体形。「思ひ出づ」の尊敬語。動作の主体である光源氏を敬っている。作者からの敬意。

 

(光源氏は)あの紫のゆかり(=紫の上)を探し引き取りなさった時のことをお思い出しになると、

 

 

かれはされて言ふかひ あり を、これは、いといはけなくのみ見え給へ 

 

彼(かれ)=名詞、あれ。あの人

 

かひ(甲斐・効)=名詞、効果、効き目。

 

あり=ラ変動詞「あり」の連用形、ある

 

し=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

 

いはけなく=ク活用の形容詞「幼けなし(いはけなし)」の連用形、子供っぽい、あどけない

 

給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。動作の主体である女三の宮を敬っている。作者からの敬意。

 

ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

 

あの人(=紫の上)は気が利いて話のしがいがあったが、こちら(=女三の宮)は、たいそう子供っぽくのみお見えになるので、

 

 

よか めり、憎げにおし立ちたることなどはあるまじか めり思す ものから

 

よか=ク活用の形容詞「良し」の連体形。「よかるめり」→「よかんめり」(音便化)→「よかめり」(無表記)と変化していった。

 

めり=推定の助動詞「めり」の終止形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。視覚的なこと(見たこと)を根拠にする推定の助動詞である。もう一つの「めり」も同じ。

 

たる=存続の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

 

まじか=打消推量の助動詞「まじ」の連体形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。「まじかるめり」→「まじかんめり」(音便化)→「まじかめり」(無表記)と変化していった。

 

思す=サ行四段動詞「思す(おぼす)」の連体形。「思ふ」の尊敬語。動作の主体である光源氏を敬っている。作者からの敬意。

 

ものから=逆接の接続助詞。「もの」がつく接続助詞はほぼ逆接、たまに順接・詠嘆の時がある。

 

(それはそれで)良いようだ、憎らしげに我を張ることなどはあるまいだろうとお思いになるものの、

 

 

いとあまりものの栄えなき御さまかなと見奉り 給ふ

 

かな=詠嘆の終助詞

 

奉り=補助動詞ラ行四段「奉る(たてまつる)」の連用形、謙譲語。動作の対象である女三の宮を敬っている。作者からの敬意。

 

給ふ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の終止形、尊敬語。動作の主体である光源氏を敬っている。作者からの敬意。

 

たいそうあまり見栄えがしないご様子だなあと拝見なさる。

 

 

三日がほどは、()()れなく渡り給ふを、年ごろ もならひ給は 心地に、

 

給ふ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連体形、尊敬語。動作の主体である光源氏を敬っている。作者からの敬意。

 

年ごろ=名詞、長年、数年間、長い間

 

さ=副詞、そう、その通りに、そのように。

 

給は=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の未然形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。作者からの敬意。

 

ぬ=打消の助動詞「ず」の連体形、接続は未然形

 

三日間(=婚礼の儀が行われる三日間)は、(光源氏が女三の宮のもとへ)毎晩欠かさず通いなさるのを、(紫の上は)長年そのようなことにも慣れていらっしゃらない気持ちで、

 

 

忍ぶれ なほ ものあはれなり

 

忍ぶれ=バ行上二段動詞「忍ぶ」の已然形、我慢する、こらえる。人目を忍ぶ、目立たない姿になる。

 

ど=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。

 

なほ=副詞、やはり。さらに。それでもやはり。

 

ものあはれなり=ナリ活用の形容動詞「ものあはれなり」の終止形。「もの」は接頭語

あはれなり=ナリ活用の形容動詞。「あはれ」はもともと感動したときに口に出す感動詞であり、心が動かされるという意味を持つ。しみじみと感じられる、しみじみと思う、しみじみとした情趣がある。

 

耐え忍ぶけれど、やはりなんとなく悲しい様子である。



御衣どもなど、いよいよたきしめさせ 給ふ ものから

 

いよいよ=副詞、ますます、いっそう、なおその上、とうとう

 

させ=使役の助動詞「さす」の連用形、接続は未然形。直後に尊敬語がくると「尊敬」の意味になることが多いが、今回のように「使役」の意味になることもあるので、やはり文脈判断が必要である。直後に尊敬語が来ないときは必ず「使役」の意味である。

 

給ふ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連体形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。作者からの敬意。

 

ものから=逆接の接続助詞。「もの」がつく接続助詞はほぼ逆接、たまに順接・詠嘆の時がある。

 

(光源氏の)お着物などに、いっそう香をたきしめさせなさるものの、

 

 

うちながめものし 給ふ 気色いみじく らうたげに をかし

 

うちながめ=マ行下二段動詞「うちながむ」の連用形。「うち」は接頭語

眺む(ながむ)=マ行下二段動詞、じっとみる、眺める。物思いに沈む。

 

ものし=サ変動詞「物す(ものす)」の連用形、代動詞、「~する」、ある、いる、行く、来る、生まれる、などいろいろな動詞の代わりに使う。

 

給ふ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連体形、尊敬語。動作の主体である紫の上を敬っている。作者からの敬意。

 

気色(けしき)=名詞、様子、状態。ありさま、態度、そぶり。

 

いみじく=シク活用の形容詞「いみじ」の連用形、(いい意味でも悪い意味でも)程度がひどい、甚だしい、とても

 

らうたげに=ナリ活用の形容動詞「らうたげなり」の連用形、かわいらしい様子

 

をかし=シク活用の形容詞「をかし」の終止形、趣深い、趣がある、風情がある。素晴らしい。かわいらしい。こっけいだ、おかしい。カ行四段動詞「招(を)く」が形容詞化したもので「招き寄せたい」という意味が元になっている。

 

物思いにふけっていらっしゃる様子は、とても可愛らしい様子で趣がある。

 

 続きはこちら源氏物語『女三の宮の降嫁』解説・品詞分解(4)

 

 源氏物語『女三の宮の降嫁』現代語訳(3)(4)

 

 源氏物語『女三の宮の降嫁』まとめ

 

 

 

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