フロンティア古典教室

『師の説』(2)原文・書き下し文・現代語訳

   

青=現代語訳・下小文字=返り点・上小文字=送り仮名・解説=赤字

前半はこちら『師の説』(1)原文・書き下し文・現代語訳

 

巫医・楽師・百工()()相師トスルヲ

()()(がく)()(ひゃく)(こう)(ひと)は、(あい)()とするを()ぢず。

 

巫女と医者・音楽家・その他多くの職人たちは、お互いを師とすることを恥じとしない。

 

 

士大夫()族、曰ハク師、曰ハク弟子ヲバ、則群聚シテ而笑

()(たい)()(ぞく)は、()はく()()はく(てい)()()(もの)をば、(すなわ)(ぐん)(しゅう)して(これ)(わら)ふ。

 

官位のある者たちは、師と言ったり、弟子だと言ったりする者のことを、寄ってたかって笑う。

 

 

ヘバハク、「彼()彼年相若ケリ也、道相似タリ也。」

(これ)()へば(すなわ)()はく、「(かれ)(かれ)とは(とし)(あい)()けり、(みち)(あい)()たり。」と。

 

その理由を尋ねると、そこで(官位のある者たちが)言うことには、「彼と彼とは年がお互いに同じぐらいで、身につけた学問や技術も同じぐらいだ。」

 

 

位卑ケレバヅルニ、官盛ンナレバシトスフニ

(くらい)(ひく)ければ(すなわ)()づるに()り、(かん)(さか)んなれば(すなわ)(へつら)ふに(ちか)しとす。

 

(師の)身分が低ければ、恥ずかしいことだと思い、(師の)官位が高ければ、媚びへつらっているようだと思う。

 

 

嗚呼、師道()()ルコト()矣。

()()()(どう)(ふく)せざること、()るべし。

 

ああ、師道(=昔のような師のあり方)が復活しないことが、よく分かる。

 

 

巫医・楽師・百工()、君子()

()()(がく)()(ひゃく)(こう)(ひと)は、(くん)()(よわい)せず

 

巫女と医者・音楽家・その他多くの職人たちのことを、君子の人たちは同列と見なしていない。

※君子=士大夫之族(=官位のある者たち)のことを指しており、皮肉を込めて表現している。

 

 

今其、乃ツテ()。可シム也歟(かな)

(いま)()()は、(すなわ)(かえ)って(およ)(あた)ばず。(あや)しむべきかな。

※「()(スル)(コト)」=不可能、「 ~(する)(こと)(あた)はず」(能力がなくて) ~Aできない」

※也歟(かな)=詠嘆

(ところが、)今、その君子たちの賢さは、かえって(巫医・楽師・百工之人たちに)及ぶことができない。不思議なことであるよ。

 

 

聖人。孔子トス郯子・萇弘・師襄・老耼

(せい)(じん)(つね)()()し。(こう)()(たん)()(ちょう)(こう)()(じょう)(ろう)(たん)()とす。

 

聖人には決まった師はいない。孔子は郯子・萇弘・師襄・老耼を師とした。

 

 

郯子()、其()孔子

(たん)()()は、()(けん)(こう)()(およ)ばず。

 

(しかし、)郯子たちは、その賢明さということでは孔子に及ばない。

 

 

孔子曰ハク、「三人行ヘバ、則リト。」

(こう)()()はく、「(さん)(にん)(おこな)へば、(すなわ)(かなら)()()()り。」と。

 

孔子が言うことには、「三人が何か行動すれば、(その三人の中に)必ず自分の師とすべき人がいる。」と。

 

 

弟子()ズシモ()一レンバアラ

()(ゆえ)(てい)()(かなら)ずしも()()かずんばあらず。

 

こういうわけで、弟子は必ずしも師に及ばないというわけではない。

 

 

()ズシモナラ於弟子ヨリ

()(かなら)ずしも(てい)()より(けん)ならず。

※「不ズシモ ~(セ)」=部分否定、「必ずしも ~(せ)ず」、「必ずしも ~(する)とは限らない。」

(また、)師は必ずしも弟子より賢明なわけではない。

 

 

クニ先後、術業専攻(ごと)クノ而已(のみ)

(みち)()くに(せん)()()り、(じゅつ)(ぎょう)(せん)(こう)()り、()くのごときのみ

※「~ 而已(のみ)」=限定「~ のみ」「~ だけだ」

(人それぞれ、)道について聞き知っているのには早い遅いがあり、(また、)技能と技術に専門としているものがある。ただそれだけのことである。

 

 

李氏子蟠、年十七。好古文、六芸経伝、皆通セリ

()()()(はん)(とし)(じゅう)(しち)()(ぶん)(この)み、(りく)(げい)(けい)(でん)(みな)(これ)(つう)(しゅう)せり。

 

李氏の子である蟠は、十七歳である。秦・漢以前の古文を好み、六芸の本文とその注釈を、すべて学んで精通していた。

※六芸=易経・書経・詩経・礼記・楽経・春秋の儒学における六つの経典

※経=六経の本文  伝=六経の注釈

 

 

()於時、学於余

(とき)(かか)はらず、()(まな)

 

この当時の風潮にとらわれず、私を師として学んだ。

 

 

余嘉フヲ古道、作リテツテ

()()()()(どう)(おこな)ふを(よみ)し、()(せつ)(つく)て、()(これ)(おく)る。

※能= ~できる

私は蟠が古道(=古代の子弟の関係)を実行できるのを褒め、この「師の説」を作って、これを彼に贈ることにする。

 

 

 『師の説』(1)原文・書き下し文・現代語訳

 

 

 

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