フロンティア古典教室

平家物語『壇ノ浦(安徳天皇の入水)』品詞分解のみ(1)

   

青=現代語訳

 平家物語『壇ノ浦(安徳天皇の入水)』まとめ

 

さるほどに=副詞

四国=名詞

鎮西(ちんぜい)=名詞

=格助詞

兵(つわもの)ども=名詞

みな=名詞

平家=名詞

=格助詞

背い=カ行四段動詞「背く(そむく)」の連用形が音便化したもの

=接続助詞

源氏=名詞

=格助詞

つく=カ行四段動詞「つく」の終止形

 

さるほどに、四国・鎮西(ちんぜい)(つわもの)ども、みな平家をいて源氏につく。

そのうちに、四国・九州の兵たちが、みな平家に反逆して源氏側の軍勢についた。

 

 

=名詞

まで=副助詞

従ひつい=カ行四段動詞「従ひつく」の連用形が音便化したもの

たり=完了の助動詞「たり」の連用形、接続は連用形

=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

者ども=名詞

=係助詞

=名詞

=格助詞

向かつ=ハ行四段動詞「向かふ」の連用形が音便化したもの

=接続助詞

=名詞

=格助詞

引き=カ行四段動詞「引く」の連用形

=名詞

=格助詞

対し=サ変動詞「対す」の連用形

=接続助詞

太刀(たち)=名詞

=格助詞

抜く=カ行四段動詞「抜く」の終止形

 

今まで従ひついたりし者どもも、君に向かつて弓をひき、主に対して太刀(たち)抜く。

今まで従っていた者たちも、君に向かって弓を引き、主に対して太刀を抜いた。

 

 

=名詞

=格助詞  「彼の(かの)」=あの、例の。

=名詞

=格助詞

着か=カ行四段動詞「着く」の未然形

=意志の助動詞「む」の終止形、接続は未然形。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

=格助詞

すれ=サ変動詞「す」の已然形、する。

=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして②の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

=名詞

高く=ク活用の形容詞「高し」の連用形

して=接続助詞

かなひ難し=ク活用の形容詞「かなひ難し」の終止形

 

かの岸に着かむとすれば、波高くしてかなひ(がた)し。

あちらの岸に着こうとすると、波が高くてできそうにない。

 

 

=代名詞

=格助詞

汀(みぎわ)=名詞、水際(みずぎわ)、岸部。

=格助詞

寄ら=ラ行四段動詞「寄る」の未然形

=意志の助動詞「む」の終止形、接続は未然形。㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

=格助詞

すれ=サ変動詞「す」の已然形、する。

=接続助詞、直前が已然形であり、②偶然条件「~ところ・~と」の意味で使われている。

敵(かたき)=名詞

矢先=名詞

=格助詞

そろへ=ハ行下二段動詞「そろふ」の連用形

=接続助詞

待ちかけ=カ行下二段動詞「待ちかく」の連用形

たり=存続の助動詞「たり」の終止形、接続は連用形

 

このみぎはに寄らむとすれば、(かたき)矢先をそろへて待ちかけたり。

こちらの岸に寄ろうとすると、敵が矢先をそろえて待ちかまえている。

 

 

源平=名詞

=格助詞

国争ひ=名詞

今日=名詞

=格助詞

限り=名詞

=格助詞

=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

見え=ヤ行下二段動詞「見ゆ」の連用形、見える、分かる、思われる。「ゆ」には「受身・自発・可能」の意味が含まれていたり、「見ゆ」には多くの意味がある。

たり=完了の助動詞「たり」の連用形、接続は連用形

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。係助詞「ぞ」を受けて連体形となっている。係り結び。

 

源平の国争ひ、今日を限りとぞ見えたりける。

源氏と平家の国を巡っての争いは、今日が最後と見えた。

 

 

源氏=名詞

=格助詞

兵ども=名詞

すでに=副詞

平家=名詞

=格助詞

=名詞

=格助詞

乗り移り=ラ行四段動詞「乗り移る」の連用形

けれ=過去の助動詞「けり」の已然形、接続は連用形

=接続助詞、直前が已然形であり、①原因・理由「~なので、~から」の意味で使われている。

 

源氏の兵ども、すでに平家の船に乗り移りければ、

源氏の兵たちは、すでに平家の船に乗り移ったので、

 

 

水手梶取(すいしゅかんどり)ども=名詞

射殺さ=サ行四段動詞「射殺す」の未然形

=受身の助動詞「る」の連用形、接続は未然形。「る・らる」には「受身・尊敬・自発・可能」の四つの意味があるがここは文脈判断。

切り殺さ=サ行四段動詞「切り殺す」の未然形

=受身の助動詞「る」の連用形、接続は未然形。「る・らる」には「受身・尊敬・自発・可能」の四つの意味があるがここは文脈判断。

=接続助詞

=名詞

=格助詞

直す=サ行四段動詞「直す」の連体形

=格助詞

及ば=バ行四段動詞「及ぶ」の未然形

=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

船底=名詞

=格助詞

倒れ伏し=サ行四段動詞「倒れ伏す」の連用形

=完了の助動詞「ぬ」の連用形、接続は連用形

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

 

(すい)(しゅ)(かん)(どり)ども、射殺され、切り殺されて、船を直すに及ばず、船底に倒れ伏しにけり。

水夫や(かじ)取りたちも、射殺され、斬り殺されて、船の進路を直すことができず、船底に倒れ伏してしまった。

 

 

新中納言知盛卿=名詞

小船=名詞

=格助詞

乗つ=ラ行四段動詞「乗る」の連用形が音便化したもの

=接続助詞

御所=名詞

=格助詞

御船=名詞

=格助詞

参り=ラ行四段動詞「参る(まいる)」の連用形、謙譲語。動作の対象である天皇(=安徳天皇)を敬っている。作者からの敬意。

※尊敬語は動作の主体を敬う

※謙譲語は動作の対象を敬う

※丁寧語は言葉の受け手(聞き手・詠み手)を敬う。

どの敬語も、その敬語を実質的に使った人間からの敬意である。

世の中=名詞

=係助詞

=名詞

=係助詞

斯う(かう)=副詞、こう、このように。  「斯く(かく)」が音便化したもの。

=格助詞

見え=ヤ行下二段動詞「見ゆ」の連用形

=接続助詞

さうらふ=補助動詞ハ行四段「候ふ(さうろふ)」の終止形、丁寧語。言葉の受け手(聞き手)である天皇(=安徳天皇)を敬っている。新中納言知盛卿からの敬意。

※「候ふ(さぶらふ)・侍り(はべり)」は補助動詞だと丁寧語「~です、~ます」の意味であるが、本動詞だと、丁寧語「あります、ございます、おります」と謙譲語「お仕え申し上げる、お控え申し上げる」の二つ意味がある。

※平家物語においての「候ふ」の読み方として、男性が使用していると「さうらふ・そうろう」、女性だと「さぶらふ・さぶらう」という読み方になるので注意。逆に言えば、「さうらふ」があれば、その内容を話しているのは男性だという推測が成り立つ。

 

(しん)(ちゅう)()(ごん)(とも)(もりの)(きょう)、小船に乗つて、御所の御船に参り、「世の中は今はかうと見えてさうらふ。

新中納言知盛卿は、小船に乗って、(安徳天皇の)御所である御船に参上し、「世の中はもはやこれまでと見えます。

 

 

見苦しから=シク活用の形容詞「見苦し」の未然形

=婉曲の助動詞「む」の連体形、接続は未然形。この「む」は、㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文中に来ると「㋕仮定・㋓婉曲」のどれかである。直後に体言があると婉曲になりがち。婉曲とは遠回しな表現。

訳:「見苦しい(ような)物」

物ども=名詞

みな=副詞

=名詞

=格助詞

入れ=ラ行下二段動詞「入る」の未然形

させ=尊敬の助動詞「さす」の連用形、接続は未然形。「す・さす・しむ」は直後に尊敬語が来ていないときは「使役」だが、尊敬語が来ているときは文脈判断。「給ふ」と合わせて二重敬語となっており、動作の主体である天皇(=安徳天皇)を敬っている。新中納言知盛卿からの敬意。

給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の命令形、尊敬語。

とて=格助詞

 

見苦しからむ物ども、みな海へ入れさせ給へ。」とて、

見苦しいような物などは、全て海へお投げ入れください。」とおっしゃって、

 

 

艫舳(ともへ)=名詞

=格助詞

走り回り=ラ行四段動詞「走り回る」の連用形

掃い=カ行四段動詞「掃く」の連用形が音便化したもの

たり=完了の助動詞「たり」の連用形、接続は連用形

拭う=ハ行四段動詞「拭ふ(のごふ)」の連用形が音便化したもの

たり=完了の助動詞「たり」の連用形、接続は連用形

塵(ちり)=名詞

拾ひ=ハ行四段動詞「拾ふ」の連用形

手づから=副詞

掃除せ=サ変動詞「掃除す」の未然形。  「名詞+す(サ変動詞)」で一つのサ変動詞になるものがいくらかある。例:「音す」、「愛す」、「ご覧ず」

られ=尊敬の助動詞「らる」の連用形、接続は未然形。「る・らる」には受身・尊敬・自発・可能の四つの意味がある。動作の主体である新中納言知盛卿を敬っている。作者からの敬意。

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

 

(とも)()に走り回り、掃いたり(のご)うたり、(ちり)拾ひ、手づから掃除せられけり。

船の前や後ろへ走り回り、掃いたり拭いたり、塵を拾い、自ら掃除をなさった。

 

 

女房たち=名詞

中納言殿=名詞

戦(いくさ)=名詞

=係助詞

いかに=副詞、どんなに、どう。

=疑問の係助詞

いかに=副詞、どんなに、どう。

=格助詞

口々=名詞

=格助詞

問ひ=ハ行四段動詞「問ふ」の連用形

給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。動作の主体である女房たちを敬っている。作者からの敬意。

=接続助詞、直前が已然形であり、②偶然条件「~ところ・~と」の意味で使われている。

 

女房たち、「中納言殿、(いくさ)はいかにやいかに。」と、口々に問ひ給へば、

女房たちが、「中納言殿、戦いはいったいどのよう状況なのですか。」と、口々にお尋ねになると、

 

 

めづらしき=シク活用の形容詞「珍し」の連体形

東男(あづまおとこ)=名詞、ここでは源氏の武士のことを指している。

=格助詞

こそ=強調の係助詞、結びは已然形となる。係り結び。

御覧ぜ=サ変動詞「御覧ず」の未然形、「見る」の尊敬語。御覧になる。おそらく動作の主体である女房たちを敬っている。新中納言知盛卿からの敬意。

られ=尊敬の助動詞「らる」の連用形、接続は未然形。「る・らる」には「受身・尊敬・自発・可能」の四つの意味があるがここは文脈判断。おそらく動作の主体である女房たちを敬っている。新中納言知盛卿からの敬意。

さうらは=補助動詞ハ行四段「候ふ(さうろふ)」の未然形、丁寧語。おそらく言葉の受け手(聞き手)である女房たちを敬っている。新中納言知盛卿からの敬意。

むず=推量の助動詞「むず」の終止形、接続は未然形。㋜㋑㋕㋕㋓の五つの意味がある「む」と同じようなものと思ってしまった方が楽。正確に言うと「推量」・「意志」・「適当、当然」の意味である。話し言葉で使われるのが「むず」、書き言葉で使われるのが「む」である。

未然形

連用形

終止形

連体形

已然形

命令形

むず

むず

むずる

むずれ

らめ=現在推量の助動詞「らむ」の已然形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。係助詞「こそ」を受けて已然形となっている。係り結び。基本的に「らむ」は文末に来ると「現在推量・現在の原因推量」、文中に来ると「現在の伝聞・現在の婉曲」

とて=格助詞

 

「めづらしき(あづま)(おとこ)をこそ、御覧ぜられさうらはむずらめ。」とて、

(新中納言知盛卿は)「珍しい東男(=源氏の武士)を、ご覧になることでしょう。」とおっしゃって、

 

 

からからと=副詞

笑ひ=ハ行四段動詞「笑ふ」の連用形

給へ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の已然形、尊敬語。動作の主体である新中納言知盛卿を敬っている。作者からの敬意。

=接続助詞、直前が已然形であり、①原因・理由「~なので、~から」の意味で使われている。

 

からからと笑ひ給へば、

からからとお笑いになるので、

 

 

なんでふ=副詞、なんという。(反語で)どうして~か。(いや~ない。)

=格助詞

ただ今=名詞

=格助詞

戯れ(たわぶれ)=名詞

=強調の係助詞

=疑問の係助詞

とて=格助詞

声々=名詞

=格助詞

をめき叫び=バ行四段動詞「をめき叫ぶ」の連用形

給ひ=補助動詞ハ行四段「給ふ(たまふ)」の連用形、尊敬語。動作の主体である女房たちを敬っている。作者からの敬意。

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

 

「なんでふのただ今の(たわぶ)れぞや。」とて、声々にをめき叫び給ひけり。

(女房たちは)「なんという、ただ今の(このような状況での)ご冗談ですか。」と言って、声ごえにわめき叫びなさった。

 

 

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 平家物語『壇ノ浦(安徳天皇の入水)』まとめ

 

 

 

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