フロンティア古典教室

『鶏口牛後』原文・書き下し文・現代語訳

      2016/03/01

青=現代語訳・下小文字=返り点・上小文字=送り仮名・解説=赤字

 

鶏口牛後=大きいものの下につくよりは、小さくてもそのかしらである方が良い

 

秦人恐シテ諸侯、求カンコトヲ

秦人(しんひと)諸侯(しょこう)恐喝(きょうかつ)して、()()かんことを(もと)む。

 

秦は他の諸国を脅かして、土地を割譲することを求めた。

 

 

洛陽人蘇秦トイフモノ。遊シテ恵王()ヰラレ

洛陽(らくよう)(ひと)()(しん)なるもの()り。(しん)(けい)(おう)(ゆう)(ぜい)して、(もち)ゐられず。

 

洛陽の人で蘇秦という者がいた。(蘇秦は)秦の恵王のもとに行き自説を説いたが、採用されなかった。

 

 

キテ文侯()趙従親セシメントス。燕資シテ、以ツテラシム

(すなわ)()きて(えん)(ぶん)(こう)()き、(ちょう)(しょう)(しん)せしめんとす。(えん)(これ)()して()つて(ちょう)(いた)しむ。

 

そこで、燕の文侯のもとへ行って自説を説き、(燕の南にある)趙と南北に同盟を結ばせようとした。(納得した)燕はこの蘇秦に資金を与えて、趙に行かせた。

 

 

キテ粛侯ハク、「諸侯()卒、十於秦。并セテ西カハバ、秦必レン矣。

(しゅく)(こう)()きて()はく、「(しょ)(こう)(そつ)(しん)(じゅう)(ばい)す。(ちから)(あわ)せて西(にし)()かはば、(しん)(かなら)(やぶ)ん。

※矣=置き字(断定・強調)

(蘇秦が)趙の粛侯に説いて言うことには、「諸侯の兵士(の数)は秦の十倍になります。力を合わせて西に進めば、秦を必ず破れるでしょう。

 

 

大王ルニ、莫シトクハ六国
従親シテ、以ツテ一レクルニ。」

(だい)(おう)(ため)(はか)るに、(りく)(こく)(しょう)(しん)して()つて(しん)(しりぞ)くるに()くは()し。」と。

 

王様のために計画すると、六国が南北に縦に同盟して、秦を退ける策に及ぶものはないでしょう。」と。

 

 

粛侯乃シテ、以ツテセシム諸侯

(しゅく)(こう)(すなわ)(これ)()して、()つて(しょ)(こう)(やく)せしむ。

 

そこで(趙の)粛侯はこの蘇秦に資金を与えて、諸侯に(この同盟を)約束させた。

 

 

蘇秦以ツテ鄙諺キテ諸侯ハク

()(しん)()(げん)()つて諸侯(しょこう)()きて()はく、

 

蘇秦が世俗的なことわざを用いて、諸侯に説いて言ったことには、

 

 

「寧ルトモ鶏口、無カレトルコト牛後。」

(むし)(けい)(こう)()るとも、(ぎゅう)()()ること()かれ。」と。

※「寧(ス)トモ、無カレ(スル)(コト)」=選択形、「いっそAしても、Bするな」

「いっそ鶏のくちばしとなっても、牛の尻尾になってはいけませんぞ。(合従策で同盟を結んで主権を保持した方が良く、秦に従属してはいけませんよ。)」と。

※大国である秦に従属するぐらいなら、同盟を結んで小さい国でも独立を保った方が良いということ。

 

 

イテ、六国従合

(ここ)()いて(りく)(こく)(しょう)(ごう)す。

 

こうして、六国は同盟したのである。

 

 

 

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