古文

万葉集「験なき物を思はずは~」解説・品詞分解・現代語訳

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

作者:大伴旅人(おおとものたびと)

 

(しるし)なき  物を思はずは  一杯(ひとつき)の  (にご)れる酒を  飲むべくあるらし

 

 

験(しるし)=名詞、効き目、効能。霊験、ご利益。目印。

 

※打消の助動詞「ず」の連用形 + は =仮定条件「もし~ならば」という意味になる。もう一つ同類のものとして、

形容詞の連用形「~く」 + は=仮定条件「もし~ならば」というものがある。なので、「~ずは」・「~くは」とあれば、仮定条件と言うことに気をつけるべき。この「は」は接続助詞「ば」からきているので、「ば」のまま使われるときもある。

 

濁れ=ラ行四段動詞「濁る(にごる)」の已然形

 

る=存続の助動詞「り」の連体形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

 

べく=適当の助動詞「べし」の連用形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。㋜推量㋑意志㋕可能㋣当然㋱命令㋢適当のおよそ六つの意味がある。

 

ある=ラ変動詞「あり」の連体形

 

らし=推定の助動詞「らし」の終止形、接続は終止形(ラ変なら連体形)。根拠となる客観的事実に基づく推定。

 

(悩んでも)かいのないことを思い悩まないで、一杯の濁り酒を飲むのが良いようだ。

 

 

 

『万葉集』まとめ

 

 

 

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