フロンティア古典教室

奥の細道『旅立ち』解説・品詞分解(1)

      2015/12/07

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

 原文・現代語訳のみはこちら奥の細道『旅立ち』現代語訳(1)

 

月日は百代(はくたい)()(かく)して、行きかふ年もまた旅人なり

 

に=断定の助動詞「なり」の連用形、接続は体言・連体形

 

なり=断定の助動詞「なり」の終止形、接続は体言・連体形

 

※対句法=二つの句の言葉の組み立て方が似ていて、意味が対応するように並べる表現方法。「月日は百代の過客にして」と「行きかふ年もまた旅人なり」が対句となっている。

 

月日は永遠の旅人であって、過ぎ去ってはやって来る年もまた旅人である。

 

 

船の上に生涯を浮かべ、馬の口とらへて老いを迎ふる者は、日々旅して旅を(すみか)

 

に=断定の助動詞「なり」の連用形、接続は体言・連体形

 

す=サ変動詞「す」の終止形、する

 

※対句法=「船の上に生涯を浮かべ」と「馬の口とらへて老いを迎ふる」が対句となっている。

 

舟の上で一生を過ごす船頭や、馬のくつわをとりながら老いを迎える馬子(まご)は、毎日が旅であって旅をすみかとしている。

 

 

古人も多く旅に死せ  あり

 

死せ=サ変動詞「死す」の未然形。「名詞+す(サ変動詞)」で一つのサ変動詞になるものがいくらかある。例:「音す」、「愛す」、「ご覧ず」

 

る=完了の助動詞「り」の連体形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

 

あり=ラ変動詞「あり」の終止形

 

(風雅を愛した)昔の人達でも多く旅の途中で亡くなった人がいる。

 

 

()もいづれの年よりか、片雲(へんうん)の風に誘はて、漂白(ひょうはく)の思ひやま海浜(かいひん)にさすらへ、

 

より=格助詞、(起点)~から、(手段・用法)~で、(経過点)~を通って、(即時:直前に連体形がきて)~するやいなや

 

れ=受身の助動詞「る」の連用形、接続は未然形。「る」には「受身・尊敬・自発・可能」の四つの意味があるがここは文脈判断。

 

ず=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

 

私もいつの年からか、ちぎれ雲が風に吹かれて誘われるように、あてもなくさすらう旅をしたいという思いがやまず、海辺をさすらい歩き、

 

 

去年(こぞ)の秋、江上(こうしょう)()(おく)蜘蛛(くも)(ふる)()をはらひて、やや年も暮れ、

 

やや=副詞、しだいに、だんだん。ちょっと、いくらか

 

去年の秋、(隅田)川のほとりのあばら家に帰り、雲の古巣を払って(落ち着いたところ)、しだいに年も暮れ、

 

 

春立て(かすみ)の空に、白河(しらかわ)(せき)()と、

 

立てる=掛詞、「春立てる(春になる・立春)」と「立てる霞(霞が立ち込める)」の二つの意味に掛けられている

 

る=完了・存続の助動詞「り」の連体形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

 

ん=意志の助動詞「む」の終止形が音便化したもの、接続は未然形。この「む」は㋜推量・㋑意志・㋕勧誘・㋕仮定・㋓婉曲の五つの意味があるが、文末に来ると「㋜推量・㋑意志・㋕勧誘」のどれかである。

 

春になって霞が立ち込めている空を見ると、白河の関を超えたいと、

※白河の関=東北地方へ向かうために通過する関所。

 

 

そぞろ神の物につきて心を狂は(どう)()(じん)の招きにあひて取るもの手につか

 

せ=使役の助動詞「す」の連用形、接続は未然形。「す・さす・しむ」には、「使役と尊敬」の二つの意味があるが、直後に尊敬語が来ていない場合は必ず「使役」の意味である。

 

ず=打消の助動詞「ず」の連用形、接続は未然形

 

※対句法=「そぞろ神の物につきて心を狂はせ」と「道祖神の招きにあひて取るもの手につかず」が対句となっている。

 

そぞろ神が体にとりついたように心を狂わせ、道祖神が招いているようで取るものも手につかず、

 

 

股引(ももひき)の破れをつづり、(かさ)()付けかへて、

 

※対句法=「股引の破れをつづり」と「笠の緒付けかへて」が対句となっている。

 

ももひきの破れを継ぎ合わし、笠のひもをつけかえて、

 

 

(さん)()(きゅう)すゆるより、松島の月まづ心にかかりて、

 

より=格助詞、(即時:直前に連体形がきて)~するやいなや、(起点)~から、(手段・用法)~で、(経過点)~を通って

 

三里に灸をすえるやいなや、(有名な)松島の月がまず気になって、

 

 

住め方は人に譲り、杉風が別所に移るに、

 

る=存続の助動詞「り」の連体形、接続はサ変なら未然形・四段なら已然形

 

住んでいた家は人に譲り、杉風の別荘に移るときに、

 

 

 

草の戸も  住み替はる()ぞ  (ひな)の家

 

雛(ひな)=季語、春

 

私が住んでいた草ぶきの小さな家にも、住み替わる時が来た。私とは違って次の主は妻子のいる人なので、(華やかに)雛人形の飾られる家となることだろう。

 

 

表八句を(いおり)の柱に()置く。

 

庵(いおり)=名詞、粗末な仮の宿、草ぶきの質素な家

 

(と詠んだ)表八句を、庵の柱にかけておいた。

 

 

 続きはこちら奥の細道『旅立ち』解説・品詞分解(2)

 

奥の細道『旅立ち』まとめ

 

 

 

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