フロンティア古典教室

徒然草『仁和寺にある法師』解説・品詞分解

      2016/09/06

「黒=原文」・「赤=解説」・「青=現代語訳

 原文・現代語訳のみはこちら徒然草『仁和寺にある法師』現代語訳

 

仁和寺(にんなじ)にある法師、年よるまで岩清水を拝まざり けれ 

 

ざり=打消の助動詞「ず」の連用形、接続(直前の活用形)は未然形

 

けれ=過去の助動詞「けり」の已然形、接続は連用形

 

ば=接続助詞、直前が已然形だから①原因・理由「~なので、~から」②偶然条件「~ところ・~と」③恒常条件「(~する)といつも」のどれかであるが、文脈判断をして①の意味でとる。ちなみに、直前が未然形ならば④仮定条件「もし~ならば」である。

 

仁和寺にある法師が、年をとるまで、石清水八幡宮に参拝したことがなかったので、

 

 

心うく 覚えて、あるとき思ひ立ちて、ただ一人、徒歩(かち) より まうで けり

 

心うく=ク活用の形容詞「心憂し」の連用形、残念だ、気にかかる、いやだ、不愉快だ

 

覚え=ヤ行下二段動詞「覚ゆ(おぼゆ)」の連用形。「ゆ」には受身・自発・可能の意味が含まれており、ここでは「自発」の意味で使われている。訳:「(自然と)思われて」

 

徒歩(かち)=名詞、徒歩

 

より=格助詞、(手段・用法)~で、(経過点)~を通って、(即時:直前に連体形がきて)~するやいなや

 

まうで=ダ行下二段動詞「詣づ/参づ(もうづ)」の連用形、「行く」の謙譲語。参る、参上する。お参りする。

 

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

 

残念に思われて、ある時思い立って、ただ一人、徒歩で参拝した。

 

 

極楽寺、高良などを拝みて、かばかり心得て帰り けり

 

かばかり=副詞、これだけ、これほど、このくらい

 

心得=ア行下二動詞「心得(こころう)」の連用形、事情などを理解する。ア行下二段活用の動詞は「得(う)」・「心得(こころう)」・「所得(ところう)」の3つしかないと思ってよいので、大学受験に向けて覚えておくとよい。

 

に=完了の助動詞「ぬ」の連用形、接続は連用形

 

けり=過去の助動詞「けり」の終止形、接続は連用形

 

極楽寺、高良神社などを拝んで、これだけだと思って帰ってしまった。

※石清水八幡宮はこれだけで全部だと勝手に思い込んで帰ってしまったということ。

 

 

さて、かたへの人にあひて、「年ごろ思ひつること、果たしはべり 

 

かたへ=名詞、片側、片方。一部分。傍ら、そば。同僚、仲間。

 

年ごろ=名詞、数年間、長年

 

つる=完了の助動詞「つ」の連体形、接続は連用形

 

はべり=補助動詞ラ変「侍り(はべり)」の連用形、丁寧語。言葉の受け手であるかたへの人を敬っている。仁和寺にある法師からの敬意。

※「候ふ・侍(はべ)り」は補助動詞だと丁寧語「~です、~ます」の意味であるが、本動詞だと、丁寧語「あります、ございます、おります」と謙譲語「お仕え申し上げる、お控え申し上げる」の二つ意味がある。

 

ぬ=完了の助動詞「ぬ」の終止形、接続は連用形

 

そして、仲間の法師に向かって、「長年思っていたことを、果たしました。

 

 

聞きにも過ぎて、尊くこそ おはし けれ

 

し=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

 

こそ=強調の係助詞、結び(文末)は已然形となる。係り結び。係り結びとなる係助詞は「ぞ・なむ・や・か・こそ」とあるが、「ぞ・なむ・や・か」の結びは連体形となり、「こそ」の結びは已然形となる。「ぞ・なむ・こそ」は強調の意味である時がほとんどで、訳す際には無視して訳す感じになる。「尊くこそおはしけれ。」→「尊くおはしけり。」

 

おはし=サ変動詞「おはす」の連用形、「あり」の尊敬語。いらっしゃる、おられる、あおりになる。

 

けれ=過去の助動詞「けり」の已然形、接続は連用形。係助詞「こそ」を受けて已然形となっている。係り結び。

 

以前から聞いていた以上に、尊いおありでした。

 

 

そも、参り たる人ごとに山へ登りは、何事ありけんゆかしかり しか 

 

参り=ラ行四段動詞「参る」の連用形、「行く」の謙譲語

 

たる=完了の助動詞「たり」の連体形、接続は連用形

 

し=過去の助動詞「き」の連体形、接続は連用形

 

か=疑問の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

 

けん=過去推量の助動詞「けむ」の連体形が音便化したもの。係助詞「か」を受けて連体形となっている。

 

ゆかしかり=シク活用の形容詞「ゆかし」の連用形、心がひきつけられる、見たい、聞きたい、知りたい

 

しか=過去の助動詞「き」の已然形、接続は連用形

 

ど=逆接の接続助詞、活用語の已然形につく。

 

それにしても、お参りに来たどの人も山へ登ったのは、何事があったのだろうか、知りたいと思ったけれど、

 

 

神へ参るこそ 本意 なれと思ひて、山までは 。」と言ひける

 

こそ=強調の係助詞、結びは已然形となる。係り結び。

 

本意=名詞、本来の意志、かねてからの願い

 

なれ=断定の助動詞「なり」の已然形、接続は体言・連体形。係助詞「こそ」を受けて已然形となっている。係り結び。

 

見=マ行上一動詞「見る」の未然形。上一段活用の動詞は「{ ひ・い・き・に・み・ゐ } る」

 

ず=打消の助動詞「ず」の終止形、接続は未然形

 

ぞ=強調の係助詞、結びは連体形となる。係り結び。

 

ける=過去の助動詞「けり」の連体形、接続は連用形。係助詞「ぞ」を受けて連体形となっている。

 

神へお参りすることが(私の)本来の目的であると思って、山(の上)までは見ませんでした。」と言ったのだった。

※山の上にある石清水八幡宮の本殿には参らず、ふもとの付属の寺と神社に参っただけで帰ってきてしまったという間抜けな話。

 

 

少しのことにも、先達はあらまほしきことなり

 

まほしき=希望の助動詞「まほし」の連体形、接続は未然形

 

なり=断定の助動詞「なり」の終止形、接続は体言・連体形

 

ちょっとしたことにも、指導者はあってほしいものである。

 

 

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