フロンティア古典教室

徒然草『九月二十日のころ』現代語訳

      2015/10/07

「黒=原文」・「青=現代語訳

 解説・品詞分解はこちら徒然草『九月二十日のころ』解説・品詞分解

 

 

九月(ながつき)二十日のころ、ある人に誘はれたてまつりて、

 

九月二十日のころに、あるお方に誘われ申して、

 

 

明くるまで月見ありく事侍りしに、

 

夜が明けるまで月をみて歩いたことがありましたところ、

 

 

思し出づる所ありて、案内せさせて、入り給ひぬ。

 

(その途中に、)あるお方は思い出しなさった所があって、(従者に)取り次ぎをさせて、(その思い出しなさった所である家に)お入りになった。

 

 

荒れたる庭の露しげきに、わざとならぬ匂ひしめやかにうち薫りて、

 

荒れている庭で露がたくさん降りている庭に、わざわざ用意したものでもないお香の香りがしんみりと香って、

 

 

忍びたるけはひ、いとものあはれなり。

 

人目を忍んで暮らしている様子には、たいそうしみじみと趣を感じる。

 

 

よきほどにて出で給ひぬれど、

 

(あるお方は)程よくして出ておいでになったが、

 

 

なほ、事ざまの優に覚えて、物の隠れよりしばし見ゐたるに、

 

(私には)やはり、その場の様子が優雅に思われて、物陰からしばらく見ていたところ、

 

 

妻戸をいま少し押し開けて、月見るけしきなり。

 

(その家の女性は、あるお方が帰った後も、)妻戸をもう少し開けて、月を見ている様子である。

 

 

やがてかけこもらましかば、口惜しからまし。

 

もしすぐに家の中に入っていたならば、(風流でなく)残念なことであっただろう。

 

 

あとまで見る人ありとは、いかでか知らん。

 

客人が帰った後(の態度)まで見ている人がいるとは、(その家の女性は)どうして知っているだろうか。(いや、知っているはずがない。)

※作者はこの女性の動作が他人の目を意識したものでなく、自然の動作であったと確信している。

 

 

かやうの事は、ただ、朝夕の心づかひによるべし。

 

このような事は、ただ、普段の心がけによるのだろう。

※このような事=客人が帰った後に月を見て余情にひたるという奥ゆかしい態度をとったこと。あるいはそれに加えて、わざわざ用意したものでもないお香の香り漂わせたりすること。

 

 

その人、ほどなく失せにけりと聞きはべりし。

 

その女性は、ほどなくして亡くなったと聞きました。

 

 

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徒然草『九月二十日のころ』まとめ 

 

 

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